こんにちは!
ぶっでぃです^^
今回のテーマは「アルカンの命名法」です。
有機化合物の命名法についてはいくつか方法がありますが、
ここでは最も系統的かつ一般的に普及しているIUPAC命名法をご説明します。
系統的方法というだけあって、結構ややこしいのですが、
なるべく噛み砕いてご説明しているので、
この講義で説明することはしっかりとマスターするようにしてください
(医学部編入ではあまりないのですが、たまに「命名せよ」という出題がなされることもあります)
講義の最初にいくつかルールの説明(=抽象的説明)があります。
若干複雑なため混乱をきたすかもしれませんが、
最後に例を示しているので、そこで具体的イメージを掴んでいただいたり知識を統合いただけるはずなので、ご安心ください。
ここでも、取り扱うのは有機化合物全般に当てはまるルール(=命名法)です。
他の官能基の学習に入るごとに、
この講義で説明した法則に付け加える形で説明していきます。
基本
ポイント1 物質名の基本は、「アルカン名」
- Cの数により固有のアルカンの名前(=物質名)がある。
※C数が10(デカン)くらいまでは覚えましょう!
- 「アルカン名」は、有機化合物の物質名の基本となる。
- 分子構造が環状だったり枝分かれしていたら、「アルカン名」の前に「接頭辞」がつく。
- 分子内に置換基があれば、置換基の「部位」「名前」が先行して入り、その後「アルカン名」がつく(※1)。 ←超重要
※1 直鎖アルカンならば、置換基はないので、そのまま「アルカン名」が物質名となる。
※2 アルカンが置換基になる場合がある。その場合は、置換基の場合の名前に変換する。メタン→メチル、プロパン→プロピル
接頭辞
ポイント1 分子構造が環状の場合
- 接頭辞は「シクロ」
※なお、分子形状が環状だと、Cに結合するH数は飽和ではないので注意が必要。ためしにシクロヘキサンの構造式と、ヘキサンの構造式を描き、H数を比較してみよう。
ポイント2-1 分子が枝分かれしている場合 1
- 用途は限られるが、接頭辞がつく場合がある。
- 枝分かれ時にいちばん多い接頭辞は「イソ」
ブタンが枝分かれして、イソブタン。
ポイント2-2 分子が枝分かれしている場合 2
- ペンタン(C5)の枝分かれ構造を表現するとき、接頭辞は2種類ある。
- ブタン(C4)の末端から2番目の炭素にメチル基(C1)が1個結合ついた構造の場合、イソペンタン(合計で炭素数5)
- プロパン(C3)の中央の炭素に、メチル基(C1)が2個結合した構造の場合、ネオペンタン(合計で炭素数5)
- 一般に、炭素数が増大すると、枝分かれのバリエーションが多くなる。なので、枝分かれによって接頭辞がつくのはペンタンまで。
ポイント3 同種の置換基が複数個、結合している場合
- 1個: モノ(特につけないことが多い)
- 2個: ジ
- 3個: トリ
- 4個: テトラ
系統ルール
ポイント1 最も長鎖のアルカンを物質名にする
- 枝分かれしている分子であれば、(ややこしいが)最も長い鎖を見つける
- 最も長い鎖の炭素数を数える
- C数に応じたアルカン名を、基本物質名とする
- 下図(ポイント2の図)でいえば、ヘプタン(C7)が基本物質名。
ポイント2 最長鎖アルカン(=主鎖)に番号を振る。置換基のアルファベットの若い側から。
- たとえば、下の例であれば、主鎖にエチル(ethyl)基とメチル(methyl)基が結合している。アルファベット順ではEthyl基が先行するので、Ethyl基に近いほうの末端から順に1,2,3,4,5,6,7と番号を振っていく
ポイント3 系統名の基本
- (番号)-(置換基名)(物質名) が基本
- 置換基はアルファベット順につけていく。
- 置換基名、物質名、ともに必要に応じて接頭辞がつく。
- 上図の例であれば、「3-エチル(ethyl)-4-メチル(methyl)ヘプタン」となる。
ポイント4 多重結合がある場合
- 二重結合がある場合: アルカンの、「アン」(-ane)を、「エン」(-ene)へ。置換基の場合「イル」(-yl)を「エニル」(-enyl)へ。
例)プロパン(propane)→プロペン(propene)、プロピル基(propyl)→プロペニル基(propenyl) - 三重結合がある場合: アルカンの、「アン」(-ane)を、「イン」(-yne)へ。置換基の場合「イル」(-yl)を「イニル」(-enyl)へ。
例)プロパン(propane)→プロピン(propyne)、プロピル基(propyl)→プロピニル基(propynyl) - 主鎖に二重結合、もしくは三重結合を含む場合、これらが始まる炭素番号を冒頭につける
たとえば、次のような場合は、「2-ペンテン」となる。
ポイント5 IUPAC命名法には慣用名もある(動画講義では触れていません)
IUPAC命名法は1992年に定められ、
以後は「IUPAC命名法に従って系統的に物質名を決めましょう」と国際的に取り決められた。
とはいえ、それ以前に普及していた慣用名も多くあり、
これら「固有名詞」も多くが使用を容認されている。
というか、正式にIUPAC名となっている。
これは、皆が使い慣れているから、という理由もあるが、
ベンゼン、ピリジン、尿素のように一言で言ってしまったほうが楽であり、
かつ多くの有機分子の基本構成要素となっているような分子も、
中には存在するからである。
その種類は意外と多く、ここでは扱いきれないので、
官能基別学習を進めるにつれて、都度触れていきたい。
例を一部挙げると、以下のようなものである。
いずれもIUPAC系統名とは異なった慣用名(しかしIUPAC名として正式に認められている)である。
- エチレン(系統名:エテン)
- プロピレン(系統名:プロペン)
- ベンゼン
- ナフタレン
- アントラセン
- フェノール(系統名:ヒドロキシベンゼン)
- ピリジン
- アセトン(系統名:ペンタノン)
- 尿素
例題
例1
シクロヘキサンの、
あるCにエチル(Ethyl)基が1個、
また、そことは隣接したCにメチル(Methyl)基が2個、
結合している。
アルファベット順でいうとEthyl基が先行するので、
Ethyl基が結合している炭素からMethyl期に結合している炭素に向けて、
以後反時計回りで番号をつける。
以上の情報より、あとは系統ルールに従って命名すると、
1-エチル-2,2-ジメチルシクロヘキサン
(※「ジ」以上の接頭辞がつく場合、同種の2個の置換基が、それぞれ何番の主鎖炭素に結合するか必ず明示しなければならない。上述の例だと、「ジメチル」に対して、「2,2」という番号を律儀に記すということ。)
例2
直鎖のヘキサン(n-ヘキサンと書くこともある)の、
1番ならびに3番炭素に二重結合が存在する。
二重結合が2つあるので、接頭辞「ジ」をつける。
以上の情報を使って、系統ルールに従って命名すると、
1,3-ヘキサジエン
となる。
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