【医学部編入】小論文の対応力をつけるには?!日ごろの読書と正しい文章記述の習慣が、あなたの作文力を拓く!

こんにちは!

ぶっでぃです^^

先日頂いたメッセージに、こんな質問がありました。

ぶっでぃさんは、富山大学大阪大学北海道大学と、

小論文・課題作文を試験科目として課す大学全てに合格してきましたが、

その対応力をつけるために、どのようなことをしてきたのか、教えてほしいです。

このたびも、ご相談とご質問をいただきまして、ありがとうございます。

たしかに、小論文は「対策」のピントをあわせにくく、

何をすればよいかわかりにくいですよね。

だからといって、放っておくと他の受験者に差をつけられるリスクがあります。

実際のところ、小論文試験の対策は、

学力試験の勉強中でも、スキマ時間で行えます。

そして、それを普段から行っているかいないかで、

試験本番の記述力に結構差がついているのです。

この記事では「常日頃から行える小論文対策」をテーマに記述していきたいと思います。

学力試験を通過したけれど、対策の仕方がわからず焦るあなたに。

または学力試験勉強で忙しく、小論文の対策などする時間がないと感じているあなたに。

この記事をお届けしたいと思います。

じつはこの記事タイトル、Twitterの需要調査でも2番人気でした。

僕たちにとって小論文対策はとても興味のある事柄なのかもしれません。

というわけで、今日は小論文対策をどのように行っていけばよいのか、

理論・実践両方の視点に立って書いていこうと思います。

目次

この記事の読み方

この記事では、小論文対策の理論から実践まで手広くカバーしました。

そのため、内容が非常に充実したのですが、

Webサイトにしては異常に膨大な記述量となってしまいました(約2万8千字)。

そのため、手っ取り早く小論文対策を行いたい方は、

以下に示す順序でこの記事を読むことをオススメいたします。

  1. 【理論】小論文は、フォーマットに沿って書くものであることを知る →>>詳細
  2. 【理論】フォーマットを用いた記述の具体例を見ることで、小論文とはどのように書くべきか、イメージを掴む →>>詳細
  3. 【実践】日ごろから(直前期は集中して)読書を行う →>>詳細 (※オススメ書籍は>>コチラ
  4. 【実践】ある程度読書を重ね知識が蓄積したら、複数の主張を脳内で議論させてみる →>>詳細
  5. 【実践】自分の手で小論文を解いてみる →>>詳細

しかし、医学部編入の小論文に特化して、

上記の根拠・理由を詳述し(【理論編】)、

行動を具体的に記述した(【実践編】)、

記事は他に見当たりません。

ということは、この記事を頭から通して読んでいただいた方は、

それだけで小論文対策と記述力についての知識と実践力が、

他の受験者と比較にならないくらい、身につくことになります。

記事は長くなってしまいましたが、それだけ内容が充実しているということでもあります。

むろん、無駄な記述は一切しておりません。

あなたが医学部編入試験の小論文力を体系的かつ確実に身につけたいと願う限り、

最初から最後まで通して読んでいただくことを強くオススメいたします。

【序】この記事を読むことで得られること

ご存知のように、小論文試験では、正解が設定されていません。

(一方、学力試験は、ある意味正解というゴールを参考書・問題集などで参照しやすいので対策しやすいです)

正解が設定されていないため、「何を書けばをもらえるのか?」という

明確な採点基準がしっかりと定められていない、という印象を持ってしまいがちです。

もしくは、結局は採点する側が(ある程度の主観もまじりつつ)決める ということかもしれません。

とはいえ、ここでどうすればよいかわからないからと何も手付かずのままでいると、

小論文試験に対してはずっと苦手意識が付きまとったままです。

その結果、学力選考を課す一次試験の多くは通過するが、小論文(+面接)選考を課す二次選考でいつも躓いてしまう、

ということにもなりかねません。

それでは、対策しにくい小論文試験を対策するには、どうすればよいのでしょうか。

これについては僕も悩みましたが、僕なりの結論は

自分の中で採点基準をある程度予測してしまう

というものです。

結構らんぼうな話に聞こえますが、正解が設定されていない以上、

受験生ができる対策はこれしかありません。

とはいえ、実際のところ、小論文試験の採点基準になりうる可能性がある観点は、そんなに多くありません。

僕が想像するかぎりで、採点基準となりうる「観点」は、大きく分けて次の3種類だけです。

  1. 可能な限り客観的となるような採点基準を、採点者側が設定している(例:論理構成がしっかりしている、多面的視座に立脚したうえで主張がなされている 等)
  2. (良い意味で)採点者の喜ぶ内容が書いてあるかどうかで加点される(例:「なるほど、その視点があったか」と採点者が唸る内容、そんなことまで知っていたのか、そんなことまで考えて書いているのか 等)
  3. (悪い意味で)採点者の喜ぶ内容が書いてあるかどうかで加点される(例:特定の診療分野・研究分野・団体・個人を褒めちぎったり、高く評価するなど、いわゆるゴマすりが喜ばれる 等)

実際の採点基準は、1~3が(重み付けはあるにせよ)重ね合わさったものであると思います。

採点者も人間ですから・・・

このうち、1.および2.については事前準備によって対策する余地がありそうです。

一方、3.については、小手先のテクニックが評価されることはあるにせよ、

何を書けば採点されるかなど予測がつきにくいですし、対策のしようがないように見えます。
(「対策」するにしても根拠なく流布しているうわさを信じるほかありませんので、「対策」としては非常に脆いです)

僕たち受験する側にとって一番避けるべきなのは、採点基準3.が気がかりになり、

「何を書けば評価されてしまうのか?」と小手先のテクニックに走ってしまうことです。

採点基準3.に気をとられることは、非常に危険なことです。

というのも、時間的ロスを生じるリスクがあることと、本当の小論文力がつかないリスクがあるためです。

本当に優れた小論文は、採点基準1.および2.の視点で評価されるべきであり、

これこそが本当に対策すべき&身に着けるべき、あなたの「小論文力」のはずです。

なのに、これを身に着けようとせず、3.に気をとられてしまっては、

いつまでもあなたの「小論文力」はつかないままになってしまいます。

正直なところ、あなたが受験する大学が3.で採点するようであれば非常に残念なのですが
(というかそもそもそのような大学などないと信じたいですが)

そのような場合、最初から受からなくて良かったと捉えるしかないのではないかと思います。

このような言い方をしては見もふたも内容に思われるかもしれませんが、

そのような採点・評価をする人間が教育組織のトップに立つような組織は、

早晩、人的地盤沈下や世間からの非難によって、衰退する運命にあるでしょう。

あなたが仮に「複数大学を受験して、どこかに(合格が)引っかかればよい」(※)と思っていたとしても、

そのような組織に拾ってもらうためにすがりつく理由は、あなたの将来を考えれば考えるほど、ないはずです。

※なお、このサイトでは、そのような志望大学選びはオススメしていません。そのかわりの方法・考え方は>>コチラの記事に記載しておりますので、よろしければご覧ください。

そうであれば、あなたにできることは、

受験する大学各々が、1.もしくは2.の採点基準であなたを評価してくれると信じ、

愚直に1.および2.の視点で採点してくれたときに高評価をもらえるような小論文を書くしかありません。

先ほど書いたように採点基準1.および2.の力を磨くことこそ、あなたの磨くべき基礎力です。

これを磨きつづければ、あなたを評価してくれる大学は、必ずあります。

物理、化学、英語、生命科学などの筆記科目では、

Commonな問題に注力すべし、Commonを取りこぼさないことが合格への道である

ということをすでに書きましたが、小論文試験に関しても同じことが言えるのです。

では、小論文でのCommonである、採点基準1.および2.で評価される、

文章力をつけるためにはどうすればよいのでしょうか?

そのアプローチとして、このサイトではもうおなじみなのですが、

小論文をひとかたまりの文と捉えるのではなく、あるいくつかの構成要素に分解する

という方法をとろうと思います。

小論文を構成要素に分解できれば、分解する前よりは小論文の正体に迫っているし、

要素を究めることで実際小論文を書く力が高まっていくはずだからです。

そして、この構成要素こそ、小論文の採点基準に他ならないはずです。

では、実際に、

  • 小論文はどのような構成要素(=採点基準)から成り立っているのか?
  • それに対し、どのように記述していけばよいのか?
  • そのような記述をするために普段からどのように対策したらよいのか?
  • また直前期からはじめる対策として、できることは何か?

以上の問いに対し、それぞれ考察して答えを見つけていくことを、この記事のゴールとしたいと思います。

【理論編①】「小論文フォーマット」

ここでは、小論文試験とはそもそもどのような試験なのか、その正体に迫ろうと思います。

のっけから突拍子もないことを言っていますが、本質を知ってから具体策を考えるのが、

あらゆる受験対策の鉄則となります。

小論文の正体を考えるためには小論文試験を構成する「要素(=採点基準)」を考えたらよいです。

しかし、この記事の前項で述べたように、

今回の話は小論文試験の「採点基準」なんてわからない!というところから始まったのでした。

「要素」が見出せない場合はどうすればよいかというと、まずは「目的」を考えればよいです。

というのも、目的さえわかれば、そのために何をすればよいか「ブレイクダウン」すれば、

それがそのまま「要素」になるからです。

では、あなたが小論文を書くことの「目的」は何かというと、

前項の採点基準1.および2.を考えればわかりやすいです。

つまり、設定された問題に対してあなた独自の答えを論述すること、です。

これら2つを小論文の2大要素と呼ぶことにします。

では、そのような記述ができるようになるためには、どのような書き方をすればよいのでしょうか?

これには様々な考え方が存在するのですが、

僕は小論文の2大要素を満たすためには、「読み手にとっての読みやすさ」、「論点の明確さ」、「主張に偏りのないこと」、「独自性の出しやすさ」、「根拠をもって説得力をもたせること」を重視するべきだと考えています。

そのため、このサイトでは、以下の順で記述することを推奨します。

  1. 筆者(=あなた)の主張を最初に明示【結論の明示】
  2. 題意に対して最適化(= 最大化or最小化)すべき因子を、根拠も添えて明示し【問題の設定】
  3. 選んだ最適化因子が多様な視点かつ数々の主張の中から選び出されたものであることを示し【多面性の確保】
  4. 選んだ最適化因子を最大化or最小化する方策を提案し【解決策の提示】
  5. あなたの主張&解決方策の長所・短所を客観的に指摘したうえで【公平性の確保】
  6. あらためてあなたの主張の優位性を示す【優位性の確保】

この6つの項目と記述順序を、小論文のフォーマットと呼ぶことにします。

※小論文対策では『吉岡のなるほど小論文講義10』という成書がすでに刊行されており、

そこでも小論文の記述法が解説されています。

ただし、この本はわかりやすいさという点で定評がありロングセラーになっている反面、

読者に期待される到達目標は高校生が大学受験に合格するレベルであり、

期待できる文章の到達レベルが医学部編入で求められるものより低い印象を受けます。

また、そこで紹介されている記法(=フォーマット)があまりに形式的かつ抽象的であり、

書いている人からすると使いにくいし、読む人からするとぎこちない文章に陥りやすい印象です。

そこで、医学部編入に求められる文章構成力および内容力をアピールでき、

かつ書く人にとって書きやすく、読む人にとって読みやすいフォーマットを、

と思い作成したのがこの小論文フォーマットです。

実際の解答例

ここで、過去に出題された小論文の設問に、実際に解答してみましょう。

これを見ていただくことによって、

上述の「フォーマット」の具体的イメージをあなたに持っていただきたいと思います。

ここで扱うのは、

「いわゆる『モンスターペイシェント』に関して、あなたの意見を800字以内で述べなさい」

という設問です。

これは富山大学の2017年実施の試験で、実際に課題作文として出題された設問です。

解答は、前項で示されたフォーマット各項への対応関係を明示するため、色分けして書いてきます。

  1. 【結論の明示】
  2. 【問題の設定】
  3. 【多面性の確保】
  4. 【解決策の提示】
  5. 【公平性の確保】
  6. 【優位性の確保】

かりにモンスターペイシェントなる存在がいたとして、それが医療現場における困難を招くのだとすれば、その原因は「医師の心の余裕のなさ」にあり、今後はこれを確保するための医師への心理的ケア体制が必要であると私は考える。ここで、患者がいわゆるモンスター気質であることの原因を、患者の人格に帰することもできるだろう。しかし、誰であっても「相手から自分の話を聞いてもらえない」と感じたとき不満や不信感を抱くものではないだろうか?もし医療現場で同様のことが起こった場合、患者は医師に不信感を抱くのではないか?その結果、医師の側に何らかの過失があると、患者はここぞとばかりに攻撃的になるし、医療者側から見るとモンスター気質と映ってしまうと私は想像する。もし、患者の人格や価値観に原因があると捉えてしまうと、そのような考えを抱いていることを患者は鋭く見抜き、逆効果だろう。ゆえに、医師は患者の訴えには耳を傾けるべきであるが、これができない時があるとすれば、その原因は医師側による防衛的態度、すなわち心の余裕のなさにあると私は考える。医師は、非常に感情が揺さぶられる職業の1つである。患者に向き合える時間は、1日の勤務時間のわずか16%であり、医療ミスが訴訟に直結しやすく、さらに手を尽くしても命を救えないことも多い。このような環境において、医師が無力感から自尊心や有能感を保つために防衛的になることは無理からぬことである。これまで、医師の感情は医師個人にゆだねられてきたことが多かったと想像するが、私はそれゆえに医師の感情、心の余裕が失われ、その結果患者の不利益が生じている事態が見過ごされてきたように思う。そのため、私は今後は医療機関、もしくは国レベルの組織が、医師の感情処理に向けて抜本的な対策を講じる必要が有ると考える。これまで見過ごされてきた医師の感情という問題に着眼するゆえに、新たな効果が期待できると考える。(797字)

フォーマットは基本形としてa.~f.の順で進んでいきますが、

主張の骨子をスムーズに伝える目的で、文の体裁を整える限りにおいて、

上述の解答例のように多少前後してもかまいません。

また、自らの主張のコアとなる問題設定の理由・根拠を説明している【多面性の確保】

指定文字数のうちの大多数が使われていることも注目いただきたいと思います。

番外編:小論文の他のフォーマット

この項で説明したフォーマット(=書式)以外に、

フォーマットは他にもいくつか存在します。

その代表例は「列挙型フォーマット」です。

たとえば、

「医学部学士編入学生は、一般入試で入学した学生にどのような好影響を及ぼすと考えられるか?」

という設問があったとします。

これも、富山大学の2017年実施の試験で、実際に課題作文として出題された設問です。

ここで例に示したように「◎◎は何であると考えるか?」という問いに対して、

「列挙型のフォーマット」は有効です。

たとえば、解答の切り口として以下のアプローチが考えられます。

医学部学士編入学生は(以下編入生)、一般入試で入学した学生(以下一般生)が年齢的に持ちにくい特性を既に持ち合わせており、これを授業や実習の場面で積極的に発揮していくことで、編入生は一般性に好影響を及ぼすことができると考える。これは3つに大別できると考える。

1つ目は「円熟した人格」である。これは○○○○であり、○○○○に役立てることができる。

2つ目は「社会経験および専門分野を究めた経験」である。・・・。

3つ目は「医学を学ぶための確固たる意欲」である。・・・。

このように、一般性が年齢的には持ちにくい3つの特性を発揮することで、編入生は一般生に・・・

・・・

つまり、◎◎は何であると考えるか?という問いに対しては、

あなたなりに考える、「◎◎についての構成要素数個」を列挙して、各々について解説すれば、

それだけで解答することができます。

これは前述のフォーマットと違い、列挙するだけなので論理構造を組み立てる必要がなく簡単に解答できてしまいます。

◎◎は何であると考えるか?という設問がなされたときは、

あまり深く考えず、シンプルに解答したほうが良い解答ができる場合もあります。

場合によって使い分けていただければと思います。

【理論編②】「フォーマット各項目の解説」と「小論文力の最小要素」

小論文フォーマットを理解したうえで、

各項目を適切に書くためにはどのような書き方をすればよいのでしょうか?

また、そのためには、

あなたはどのような能力を磨けばよいのでしょうか?

この項目では、この問いに答えていきたいと思います。

ここでは、小論文フォーマットの各項目を分析し、

小論文対策の最小要素を見出していきましょう。

a.【結論の明示】

最初に結論を明示することで、

「読み手にとっての読みやすさ」

「論点の明確さ」

を演出するのがこの項目の特徴です。

この項目の後ろにあなたの主張の根拠を述べることになりますので、

ここでは、あなたの主張を端的に述べることが一番大切になります。

つまり、この項目で見出された小論文対策の最小要素は、

「主語・述語・目的語を明示した正しい文を記述する能力」

ということになります。

b.【問題の設定】

小論文に限らず、論じること全体に言えることなのですが
(たとえばグループディスカッションなどにも当てはまる)

試験における設問は「~~について論じなさい」「~~についてあなたの考えを述べなさい」という、

非常にあいまいな問いになることが非常に多いです。

このような問いに対しては、当然ながら答えが1つに定まりません。

というのも、答えを導くアプローチは無数に存在するからです。

答えを導くアプローチの数だけ、結論は存在するといっても過言ではありません。

すなわち、答えは無数であり、ゆえに小論文には正解がないのです。

ですので、まず大切なのはこの「答えを導くアプローチ」を決めることです。

というか、そうしなければ議論のしようがありません。

では、「答えを導くアプローチ」の正体は何なのでしょうか?

これは、ありていに言うと、

【最適化すべき因子を、まず最初に決めてしまう】

ということです。

実際は着目する(=最適化すべき)因子は何通りも設定可能ですが、

何に設定するかが異なることで、得られる結論もまったく異なってきます。

例を挙げてみましょう。

ある小学5年生の男の子、Aくんがいたとします。

彼の家庭は、Aくん以外にお父さん、お母さん、小学3年生の妹がいたとします。

このたび5月第2日曜日の母の日を前に、お母さんにプレゼントを渡そうと、

お父さん、妹さん、そしてAくんの3人でプレゼントの案を練っていたとします。

このときの設問は「母の日に渡すべきプレゼントは何にすべきか?」です。

この設問自体は、非常にあいまいなものですが、

お父さん、妹さん、Aくんは【母の日だからカーネーションでしょ】と短絡的に決め付けるのではなく、

「お母さんが喜んでくるためには何を渡すべきか?」

という視点にたち、さまざまな可能性からプレゼントを考えました。

ここで行った、

「プレゼントを何にすべきか?」というあいまいな設問を

「お母さんの喜ぶものは何か?」という着眼点に具体化する作業を、

【問題の設定】とよびます。

ここで大切なのは、問題設定は自分(たち)の考えに基づいて自由に行ってよいことです。

彼らは、「お母さんへのプレゼントを選定する」という設問に対して、

「母の日にふさわしいとされるものは何か?」という着眼点を設定することもできたはずです。

しかし彼らはそうはしませんでした。

実際彼らは「お母さんが喜ぶもの」という着眼点(=最適化すべき因子)を設定したのです。

すなわち、「母の日にふさわしいもの」ではなく、

「お母さんが喜ぶもの」という着眼点(=最適化すべき因子)が設定されたことによって、

そこへ向けて、「プレゼントは何か?」という設問への答えが1点へと収束していくのです。

実は、最適化因子を1つに設定(=問題設定)がされることで、

あなたの主張やその後行われる議論の8割方は決まってしまいます。

ゆえに、小論文試験の当日では、

あなたは「何を最適化因子にするか?(=問題設定)」について

最もよく思考をめぐらせるべきです。

こうなると、あとは議論するだけです。(フォーマットでいえばc., d., e.に相当)

その瞬間から、あなたの試験時間は、字数・時間制限内で根拠を順序良く羅列するだけの「消化試合」と化すことでしょう。

一度問題が設定された後は、自分(たち)がもてる知識を総動員して、

最適化すべき因子を、いかに最適化するか、さまざまな意見を出し合います

(これをブレーンストーミングとか議論とかと呼んだりします。c., d., e.で行うべき内容なので、詳しくはc.以降で述べます)

Aくんの家庭であれば、

  • お母さんは花が好きだね
  • 花だったらお母さんは特にフリージアが好きだから、母の日らしくカーネーションと一緒に束ねてもらおう
  • そういえば○○屋の△△シューが好物だったな
  • いや、でもこの間の誕生日でシュークリームを贈ったばかりだよ
  • じゃあ◎◎工房の◆◆ケーキがいいんじゃない?
  • そういえばお母さんは旅行も好きだったなあ
  • でも家族で旅行に行くといつも「私は休めない」と愚痴をこぼすよ
  • 旅行は今度結婚記念日にでもお父さんと二人で行きなよー
  • 喜ぶ、という意味で言うと何かびっくり、サプライズもいいよなあ
  • じゃあ、プレゼントとしては、フリージアとカーネーションを入れた花束と、◎◎工房の◆◆ケーキがいいかな。サプライズはAが考えておいてくれー
  • えー、それがお父さんが・・・

・・・などといった議論が家族で行われたのかもしれませんね。

小論文でも同じです。

項目a.で【結論】を最初に述べたあとは、

僕たちはすぐに議論を行ってしまいたくなります。

しかしながら、その後の議論の方向性は、

最適化因子の決定=【問題の設定】によって決定付けられるます。

そうであれば、議論は少し待って、【問題の設定】をまず最初に行うべきです。

だから、a.【結論】の次にくるのはb.【問題設定】なのですね。

では、実際に【問題の設定】をするために必要なことは何でしょうか?

Aくんの家族の事例で考えて見ましょう。

彼らが【問題設定】できたのは、

「そもそもプレゼントは相手を喜ばせるためにするものであること」と「お母さんが喜びそうなもの」を、

両方とも知っていたからではないでしょうか?

これは小論文でも同じことです。つまり、

あなたが小論文試験の会場で設問を目にしたときに、

【問題を設定】するうえで最も重要なことは、

「設問に関連する知識を知っていること」です。

情報量が多ければ多いほど、適切な【問題設定】を行うことができます。

たとえば、医療時事に関する設問であれば、

医療に関しての社会的問題や医療現場でまさに起こっていることを知っておく必要があるでしょう。

教育問題に関する設問であれば、

教育に関しての社会的問題や教育現場でまさに起こっていることを知っておく必要があるでしょう。

自分の専門領域に近い設問であれば、ある程度は【問題設定】の対応ができるかもしれませんが、

医学部編入の小論文試験でなされる設問は幅広いものが多く、とてもあなたの専門領域の知識だけでは対応できません。

ですので、設問に関連する知識を知るためには、

常日頃から、読書やインターネットを用いて、ネタの仕入れと情報収集を行っておく

ことが必要です。

知っている知識は多ければ多いほど良いです。

逆にもし、あなたが(ひそかに)ご自身の考察力に自信を持っているとしたら、

それは問題設定力にはほとんど寄与しませんので注意が必要です。

考察力は話を膨らませたり、逆に多様な観点を統合して議論を収束させるためには役に立ちますが、

話の切り口を「増やす」ことには寄与しません。

切り口を「増やす」ためには、当然ながら「知る」ことでしか対応できないのです。

さきほどの2017年実施の富山大学小論文についても、

ここで論じたことを適用してみましょう。

「いわゆる『モンスターペイシェント』に関して、あなたの意見を述べなさい」

という設問に対し、あなたならどのように【問題設定】しますか?

僕はこの問題に対しては

「現場の医師の心の余裕を最大限に保つ方策を講じることが、

『モンスターペイシェント』なる存在に医療現場が悩まされる問題を

解決するために、最も重要である」

と問題設定しました。

ここで最適化因子は「現場の医師の心の余裕」です。

このような問題設定ができたのは、

僕がすいすいと「考察力」を駆使して問題を創出したのではありません。

このような問題があることを、予め読書によって知っていたためです。

【問題設定】力はほぼ、設問での周辺知識を知っているかどうかにかかっています。

【問題設定】力は、設問に対する切り口をどれだけ持つかに比例するのです。

この「知る」という作業は、

僕は常日頃から行うことをオススメします。

理由については、あらためて述べていきたいと思います。

さて、この項の結論をそろそろ書こうと思います。

この項目で見出された小論文対策の最小要素は、

「常日頃から、読書やインターネットで、ネタの仕入れや情報収集が行われていること」

です。

常日頃の読書量が、あなたの小論文力に直結します。

これは、この記事で僕があなたに伝えたい、最も重要なメッセージです。

この後も繰り返し似たようなメッセージが出てくると思いますので、

どうか心に留めておいていただけると幸いです。

c.【多面性の確保】

(ここは実質、b.とセットになるところですが、記述が長くなったので分けました)

b.で【問題の設定】、すなわち最適化因子の選定を行ったら、

ここではその選定の根拠を示します。

なお、記述順序は必ずしもb.→c.である必要はなく、

セットで記述されていればよい、くらいに捉えていただければと思います。

たとえば、Aくんの家族であれば、

「母の日にふさわしいとされるものは何か?」ではなく

「お母さんが喜ぶものは何か?」という問題を選定した彼らなりの理由を、

言葉で説明することです。

お母さんの喜ぶ顔が見たいからかもしれませんし、

お母さんをここで喜ばせておいたほうが、後々何かがうまく運ぶからかもしれません・・(笑)

いずれにせよ、理由を述べるのがここで行うことです。

b.で述べた

「いわゆる『モンスターペイシェント』に関して、あなたの意見を述べなさい」

という設問に関しては、僕がなぜ

「現場の医師の心の余裕の最大化」

という問題設定をしたか、ということです。

僕が富山大学で試験当日に書いた問題設定理由は、以下の趣旨のものでした。

ここで、そもそも患者がいわゆる「モンスター気質」であることの原因を、患者の人格に帰することもできるだろう。また、人々が「モンスター気質」をもちやすい社会的背景が日本に広がっていることこそ問題だ、と捉えることもできるだろう。しかしながら、私は「医療現場において医師の心の余裕が失われていることが最大の問題である」と考える。というのも、患者の目線から「医師がそもそも患者自身の主張を受け取ってくれていない」と思われることが、そもそも患者のクレームにつながっていると考えるからである。

・・・

このような考えを持つことができたのは、試験会場で僕がde novoで考え付いたからではありません。

医師の感情という本をあらかじめ読み込んでおり、そこで述べられている考え方がインプットされていたからです。

※医療現場で医師をしていくと、どのような問題が目の前で発生し、どのような対応に追われ、その過程でどのような心・感情の問題がひき起こされ、その結果、どのような不利益が患者さんに及ぼされるのか?・・などといったことがことが医師の感情という本には書かれていました。

富山大学での課題作文試験にうまく対応することができたのは、

僕がまさしく「医療現場での問題を(分野外の人間なりに)知っていた」からだと思います。

小論文では、よく「どのような意見を持つかではなく、その根拠をしっかり書けているかで評価される」

という意見を耳にします。僕も、同意見です。

一方、「どのような意見をもつか?」「どのように問題設定するか?」についても、

特に医療現場・医療時事・社会問題についてはしっかりと前提知識&自分の意見を予め持っており、

スムーズに回答することが求められると思います。

予め知っておく&予め自分の意見を持っておく(≠当日に考察する)ことは、

「根拠をしっかり書けるかどうか」に大きな影響を及ぼすのです。

きっと、18歳の青年ではなく大人を医学部医学科に編入させるからには、

大学はそのような資質を受験生に求めていると僕は思っています。

ですので、やはりここでも、

「より多くの前提知識を仕入れておくこと」を、b.と同様、強調しておきたいと思います。

すなわち、この項目で見出される小論文の最小要素もやはり、

「常日頃から、読書やインターネットで、ネタの仕入れや情報収集が行われていること」

です。

d.【解決策の提示】

問題の設定とその根拠を述べ終わったら、解決策の提示を行います。

ここは端的に言うのが良いでしょう。

富山大学の例で示したように、e.【公平性の確保】から先に論じておいて、

そのあとに書くのもよいでしょう。

僕が書いたのは次のようなものでした。

今後は医療機関、もしくは国レベルの組織が、医師の感情処理に向けて抜本的な対策を講じる必要が有ると考える。

誰が(医療機関もしくは国)何を(医師の感情処理に向けて抜本的な対策を講じる必要があること)すべきか

端的に述べられていますね。

ここで「医師の感情処理に向けた抜本的な対策とは、具体的に何か?」

という疑問が読み手には生じるかもしれませんし、本当であればそこも書くべきだとは思います。

ですが、富山大学の例では文字数の関係上、その先には踏み入れませんでした。

小論文試験(+論ずる・ディスカッション系全般)では重要度が 問題設定>問題解決 です。

そのため、解答するうえでは、「問題設定の根拠付け」のほうに優先順位をおきました。

※もし文字数制限が800字ではなく1200字程度であれば、「医師の感情の処理に関する抜本的対策」ついても述べたと思います。

いずれにせよ、解決策の根拠はe.で改めて示しますから、

ここではa.【結論の提示】と同様

「主語・述語・目的語を明示した正しい文を記述する能力」

が、小論文対策の最小要素ということになります。

e.【公平性の確保】

ここまで読み進めていただいたあなたなら、もうすでにお分かりだと思いますが、

【解決策の提示】に対しても、豊富な知識を用いて「解決策設定の根拠」を述べます。

ただし、「反論」までは書かなくてもよいでしょう。

※ここに至る前のパートでは、【問題設定】に対する反論も書きましたので、本当はここでも、あなたの【解決策】に対する反論を書いたほうが良いのかもしれません。しかし、小論文試験(+論ずる・ディスカッション系全般)では重要度が 問題設定>問題解決 です。ですので、問題解決では、問題設定よりも根拠についてはこだわらなくても良い場合が多いです。そもそも提示→反論→提示→反論とつづいては読むほうにとってもクドく感じてしまうでしょうし、文字数の制約もあるので、書かないほうがよい理由のほうが有力だと思います。

ですから、読み手にとって

「こういう考え方(=あなたの考え方)もあるよね、ふむふむ。。。」

・・と思わせるような記述にとどめておけば十分だと思います。

しかし、1点だけ注意するべきことがあるとすれば、

反論を書かないからこそ、あなたが提示する解決策が、

確かに効果があるように見える記述を心がけなければなりません。

僕が富山大学で行った方法は、具体的な数字や実際に医療現場で起こっていることを記すことでした。

医師は、非常に感情が揺さぶられる職業の1つである。患者に向き合える時間は、1日の勤務時間のわずか16%であり、医療ミスが訴訟に直結しやすく、さらに手を尽くしても命を救えないことも多い。このような環境において、医師が無力感から自尊心や有能感を保つために防衛的になることは無理からぬことである。これまで、医師の感情は医師個人にゆだねられてきたことが多かったと想像する
・・・

これが試験当日記述できたのも、日ごろからネタ仕入れをしていた恩恵がかなりあります。

すなわち、この項目で見出される小論文の最小要素もやはり、

「常日頃から、読書やインターネットで、ネタの仕入れや情報収集が行われていること」

です。

f.【優位性の確保】

問題設定、その根拠づけ、

解決策提示、その根拠付け、

・・・以上が済めば、最後にに結論を述べれば終わりです。

結論とはその文章のシメなわけですが、そこにはあなたが書いたことのうち最も主張したいことが述べられます。

ということは、そこに主張の優位性が示されていると、話に一本の筋がとおり、

読み手に説得力を持たせやすいです。

優位性という言葉を使うと、誤解を生むかもしれませんので補足しておきます。

ここであなたが強調する優位性とは、あなたの意見が「他の意見より優れている」かどうかではありません。

他の意見があるなかで、あなたの意見もまた価値があるものだと主張するのです。

で、その構成要素は何かというと、

「新規性」と「進歩性」です。

これまで着目されてこなかった視点で物事に当たることを説明するなら「新規性」

これまでの視点+αを付け足すことでさらに問題解決に寄与することを説明するなら「進歩性」です。

富山大学の例で書かれているものは、「新規性」をアピールしたものです。

これまで、医師の感情は医師個人にゆだねられてきたことが多かったと想像するが、私はそれゆえに医師の感情、心の余裕が失われ、その結果患者の不利益が生じている事態が見過ごされてきたように思う。そのため、私は今後は医療機関、もしくは国レベルにおいて医師の感情処理に向けて、抜本的に取り組む必要が有ると考える。これまで見過ごされてきた医師の感情という問題に着眼するゆえに、新たな効果が期待できると考える。

つまり、今まで医師の感情に対するケアが、

医療機関や国レベルで試行された例はなく、

だからこそ医師が患者への接し方が変わるという新たな効果が期待できるのではないか?

と提案しているのです。

このパートについて必要なのは何が「新規性」「進歩性」をもつのかアピールする力です。

これを行うためには「従来行われてきたことは何か」「従来行われてこなかったことは何か」

あらかじめ知っておかなければなりません。

ですので、やはり他の項目と同様、

「常日頃から、読書やインターネットで、ネタの仕入れや情報収集が行われていること」

が求められます。

小論文対策の最小要素 まとめ

小論文のフォーマットの各項目を詳細に分析した結果、

  • 「主語・述語・目的語を明示した正しい文を記述する能力」
  • 「常日頃から、読書やインターネットで、ネタの仕入れや情報収集が行われていること」

が、小論文の記述に必要であることが示されました。

また、最終的にフォーマットに沿った記述にも習熟する必要がありますから、

  • 「フォーマットに沿って小論文設問に解答することに習熟していること」

もまた、合格レベルの小論文を記述するために必要なことでしょう。

フォーマットの項目数より、小論文対策の最小要素のほうが小さくなってしまいましたが、

裏を返せば小論文対策はそれだけシンプルということです。

すなわち、普段からすべきことは、知識を増やして書くことに習熟すること。

これだけでよいのです。

以上、訓練はシンプルであることがわかりました。

では、実際に小論文の解答力をつけるため、日常からどのような行動をとっていけばよいのでしょうか?

次の項では具体的な行動の仕方

学習の段階に応じたふさわしい行動の仕方

オススメの読書など、

対策の各論に入っていきます。

各論は「実行がそのまま成果に結びつく」ので、楽しみですね!^^

【実践編】具体的行動

【理論編】で見出された3つの最小要素

  1. 常日頃から医療現場・医療時事・社会問題についての知識を仕入れる
  2. 主語・述語・目的語を適切に用いた文章を書く
  3. 小論文フォーマットにのっとった解答の習熟する

を、どの順序で何を対象に行っていけばよいのか説明します。

実は小論文力も生命科学・物理学・化学・英語のような筆記科目と同じく、

訓練の進捗を4つのステージに分類することが可能になります。

それぞれの進捗ステージで行うべきことは異なりますので、

ここでも4ステージごとに行うべきことを解説していきたいと思います。

I.知識、II.理解 ~平素の読書が道を切り開く~

学力試験の対策と同様、

小論文の対策も、知識・理解から入ります。

というのも、小論文試験の設問にかかわる知識・理解(=ネタ)がないと論述のしようがないからです。

また、ネタのインプットなしに、自分の意見を試験当日にアウトプットすることもできません。

(自分の意見を整理するだけで試験時間の大部分を使ってしまい、思うように伝えたいことを記述できなかった、という経験をした方の話もよく耳にします。)

だからこそ、常日頃(=学力試験に集中しているときから)のインプットが必要なんですね。

ここで、もっとも効果的なインプット方法をズバリお伝えします。

それは読書です。

ただし、特に読書のためのまとまった時間を用意する必要はありません。

なので、学力試験の対策に集中したい「年の前半」であっても、対策することが十分可能です。

では具体的にどのように読書していけばよいのでしょうか?

このサイトでは、積読(つんどく)読書法を推奨しています。

ここでいう積読読書法は、以下の順序で行う一連の動作を指します。

  1. オススメされている書籍、自分が興味ある書籍、関連ありそうな書籍を、ひたすら買い占める
  2. トイレ、部屋の片隅、テーブルなど、「勉強スペース以外の」目に付く場所におく(※1)
  3. 日ごろは学力試験への勉強に集中するが、集中が切れたタイミングでふと目に付いた本を手に取る
  4. 時間を気にせず読みふける

※1 勉強スペースに置くと、勉強に力が入らず読書ばかりするリスクがありますので、推奨しません。また、本棚に置くこともあまりオススメしません。というのも、目に付きにくいためです

以下、本を読み始める前に気をつけるべき点を挙げておきます。

これらを「本を読む前に」意識するだけで、

あなたに必要な情報だけを、その本から効果的・効率的にインプットできます。

  1. 「本を買ったからには全て読まなければいけない」という思い込みを捨てること。
  2. 目的を設定した上で読むこと。
  3. 速く読む本と、熟読する本を区別すること。
  4. 得た知識や考え方を他人にプレゼンテーションできるレベルまで自分を高めること。
  5. iv.に必要な知識が書かれた箇所を「スマホ撮影」or「Kindleならマーキングしてスクショ」し、写真フォルダに保管すること(その上でその本は不要物として転売・譲渡・廃棄すること)
  6. 自分の考えを、この時点では持たないこと

以下、i.~vi.の各項目について解説していきます。

i.についてですが、

目次を読んで本当に興味のある項目だけをまず開き、読んでみます。

その時点で、今のあなたに必要ない

(=すでに知っている and/or 興味を持って読み進められない)記載であれば、

もうその本は読むのをやめてしまいましょう。

というのも、あなたにとって最も興味深い話題でさえあなたに必要ないならば、

その他の項目についてもあなたに必要な情報や考え方が書かれている可能性はきわめて低いからです。

「いやいや、そんなの読んでからじゃないのわからないじゃないですか」

と思われるかもしれません。

ですが、断言します。他の本に移行したほうがはるかに時短効果があります。

その本にこだわり、他のパートを隅々までサーチすることに時間を使うよりも、

自分にとって興味深い話題の本に移行して速やかに情報を得たほうが、

そしてそれを連続的に繰り返していくほうが、

はるかに有用な情報を得る時間密度は高くなるはずではないでしょうか?

ここで惜しむべきは、本を買った高々数千円の小金を無駄にすることではなく、

あなたの合格のために使える時間が無駄になることである、

ということを肝に銘じてください。

ii.についてですが、

目的は「情報を知る」「自分が知らなかったアプローチと考え方を獲得する」の2つに大別されます。

手にした本の性質によって、あなたにとってどちらの目的で読むべき本か?ということを

しっかりと認識した上で読むようにしてください。

というのも、この2つによって、読み方がまったく異なってくるからです。

iii.についてですが、ii.でお話した目的が、

  • 「情報を知る」であれば「速読本」
  • 「アプローチ・考え方を知る」であれば「熟読本」

と区別してください。

情報収集を目的とした本は、必要箇所を頭に入れ、飛ばし読みができます。

この飛ばし読みを速読と呼びます。

無理して飛ばし読みする必要はありませんが、飛ばし読みすることで確実に時短になります。

たとえば最新の時事を手に入れたり、テクノロジーを知るための本や記事であれば、

話のプロットは掴みやすいので、サクサクとこれを掴みつつ必要箇所の情報を頭に入れていきます。

一方、今まで自分が知らなかったアプローチ・考え方をインプットするための本は、

熟読しながら「なるほど、そのような考え方もあるのか」と考察しながら読む必要があります。

たとえば医療現場をしらない非医療従事者が医師の視点を手に入れるようなエッセイを読むのであれば、

著者の視点に立ちながら熟読することが求められるでしょう。

このように、目的別に効果的な読み方は変わってきますので、それにふさわしい読み方をすることが

結果的に時間短縮となるのです。

iv.についてですが、

人に説明できるレベルになることを自分の最終到達点におくことで、

人間はインプットの質が高まるようにできています。

ですので、これを説明できるように読むのが大切です。

このためには考えをまとめながら、つまり、

  • 情報収集・速読型の本や記事であれば、話のプロットを掴むこと
  • アプローチ考え方インストール型のエッセイであれば、著者の主張の要点を掴むこと

・・をゴールとして意識して読むことが大切ということです。

もっと効果的な方法は、上記のようにしてインプットした情報を、

人に伝えることです。

身近な人に伝えてもよいですし、あえてそれをするのが難しい環境であれば、

職場や学校での環境で雑談の中に織り交ぜて知識を披露していくのでもよいと思います。

v.についてですが、

必要箇所だけを切り出し、それだけを残しておくことは、

あなたが参照したいときに思い出すきっかけを作り出してくれます。

これは、いいかえると、自分の知識の引き出しを増やすということです。

やるべきことは、

「スマホで重要箇所を撮影」もしくはKindleであれば「マーキングしたうえでスクリーンショット」です。

これは情報収集・速読本だけでなく、考え方・アプローチをインプットする熟読本であっても有効です。

章ごとのシメの文章にエッセンスが載っているものですから、そこを切り取れば十分です。

不要になった本は、紙書籍なら転売したり必要な人に渡してしまってよいです。

強烈な人になると、紙の本にマーキングして、ハサミを切り取って、ファイルにまとめ、

他の箇所は古紙回収に出してしまうのだそうです。

・・さすがにここまでする必要があるとは思いませんが、「必要箇所の切り取り」は必ず行うようにしてください。

というのも、その本からあなたが得られる有意義な情報というのは、全文字数に対して高々2%程度だからです。

ということは、読了後は本全部を残しておくより、自分にとって有用な情報だけを残すほうが時間的価値が高いです(※2)。

これはかつて神田昌典さんという方の提唱する説だったのですが、これを実証すべく僕も自分で確かめたことがあります。

自分にとって必要と思ったマーカーの文字数を分子、総文字数(=ページ数 x 文字数/ページ)を分母としてパーセンテージを算出しました。

3冊で確かめたのですが、結果は2.4%、1.8%、2.2%・・・。だいたい2%でした。

さすが神田昌典さん、本当におっしゃるとおりでした^^;

※2 かつて「思考は現実化する」「7つの習慣」などのコテコテの自己啓発書には「何度も読み返し、マーキングを何度も行い、座右の書にしてほしい」、などと書かれていることもありました。これは、左記書籍が人生全般を網羅する書であり、読むタイミングごとに読者の琴線に触れる箇所が異なるほど、書かれていることの広さや深みがあるためだと著者自身が考えているためです(すごい自信ですよね)。しかしながら、医学部編入で行う類の読書では、そのような読み方は時間的に非常に非効率です。

さいごに、vi.についてですが、

自分の意見をこの時点(I.知識、II.理解)では持たないことが重要です。

ここではひたすら、情報収集と考え方のインプットに専念してください。

これには2つの理由があります。

  • 1つ目は、あなたの現時点での考えをはさむことで、著者の主張を正確に読み取れなくなる問題があるためです。
  • 2つ目は、そもそもあなたは医療現場・医療時事・社会問題についての知見が不足しているからインプットしているのに(=これが目的)、その目的を外れてあなたが考えを挟むことは無駄以外なにものでもないからです。

たとえば、よくやりがちなのが、

「いわゆるモンスターペイシェントが医療現場で生まれてしまう背景に、

医師の心の余裕が失われる状況があるからだ」

という主張を見たときに、

「いやいや、患者が元からおかしいということだってあるよ」

などと自分の意見を挟んでしまうことです。

あなたが、いまこのステージ(I.知識、II.理解)にあるのであれば、むしろもつべき視点は、

「なるほど、○○という立場や状況では~~のように考えることもできるし、そのほうが確かに自然かもしれない」

と捉えることです。

このようなある意味「素直」と思えるような捉え方は、

あなたを思考停止的に、他人の考えに与することを強要するようで、ある意味恐怖感や不快感を覚えるかもしれません。

しかしながら、もし上記「素直」な捉え方を、「さまざまな立場にたって」行うことができれば、

あなたの思考は偏ることがないのではないでしょうか?

むしろ、他人の主張に対して自分の思考や考えを挟むことこそが、

あなたの思考をどんどん狭く偏ったものにするのではないでしょうか?

「さまざまな立場にたって素直に著者の主張を理解する」ことを繰り返すことが、

あらゆる主張に対して中立的観点にたち、公正な議論をできる人間に育てるのだと思います。

ですから、僕はあなたに、この段階では「自分の意見を挟んでインプットすべきではない」とお伝えしているのです。

ここで注意してほしいのは、

僕が言いたいことは、「あなたは意見を持つべきではない」ということではない、ということです。

「最終的には」、あなたは自分の意見を持たなければいけません。

そのための訓練はIII.定着で行うべきことであり、今やるべきではない、と言っているのです。

自分の意見を持つことは後でしっかり行うわけですから、

あなたには今はただひたすらにインプットをしてほしいと思います。

===========

以上、I.知識収集、II.理解を目的とした、読書の意義と方法について述べてきました。

次に、読書の対象について述べます。

対象は主に、

  1. 医療現場
  2. 医療時事
  3. 社会問題
  4. 最新の生命科学研究およびその医学への応用可能性

です。

1.~3.を優先して読むとよいですが、

4.についても、「科学・技術の発展が1.~3.のブレイクスルーとなりうる」、

という観点で議論や解決策の提案をできるようになりますので、

1.~3.をしっかりとインプットした上で読めば、なおよいです。

僕からのオススメ読書リストは>>コチラに示しておきますので、

よろしければそちらもご参照ください^^

III.定着 ~脳内ディスカッションができればあなたの成功も近い~

読書を重ね、知識が蓄積されると、

着眼点や立場が異なるとアプローチや考え方も異なってくるし、

時として考え方に矛盾や衝突が起こりうる、

ということを理解できるようになります。

たとえば、【理論編】で説明した2017年実施富山大学の例で説明します。

あるとき、

  • とある医療時事をまとめたニュースサイトで、モンスターペイシェントなどへの対処法、をまとめた特集記事がありました。

一方で、

  • 医師の感情という書籍では「患者からのクレームがなぜおこるのか」が、現場の医師の視点と経験から内省されていました。

両者は一見正反対の視点からアプローチしています。

すなわち、医療現場で患者が「モンスター気質」となっている状況を目の当たりにしたとき、

  • その原因は患者の人格によるものとして考え、そのうえで医療従事者として「どのように外側から対処(振舞う)」するか
  • その原因は医師の対処によるのかとして考え、そのうえで医療従事者として「何を心がけ接する(向き合う)」

という違いです。

このように、一見矛盾したように見える命題があったとき、あなたはどのように捉えますか?

現実問題としては、現場では両方の対処が必要となることでしょう。

何が正しいかという唯一解は、このような場合存在しません。

時と場所と場合と人によってとるべき行動は違うためです。

しかしながら、それをしっかり踏まえたうえで、あなたが持つべき視点は、

将来の医療従事者(=そのリーダーである医師)として、

どのように考え行動することが、患者にとってより有益な行動を取れるか?

という「あるべき論」「理想論」をもつことです。

僕の場合、そのような視点に立ったときにもった考えは、

「モンスター気質」の原因の重心を患者側ではなく医療者側におくことが、

患者さんにとっての利益により結びつきやすい

という考えです。

たしかに、家庭環境やこれまでの人生で培われてきた経験によって、

他者に依存して自分の問題をすぐ人のせいにしたり、

医療機関を最初から信頼できないものと捉える価値観が育まれることもあるかもしれません。

しかしながら、そのような価値観を持たない人だってたくさんいるのです。

それを、医師側で最初から防衛的に接することで、わざわざ患者に不満・不信感を抱かせる理由はないはずです。

とはいえ、医師も、元々は人の命や健康を守りたいし、人の役に立ちたいと思う人であり、

好きで防衛的に接しているわけではないはずです。

そうであれば、医師に本意ではない「防衛的対処」をさせてしまっている現在の環境を見直し、

そのためのシステマティックな方法をとるべきである、という考えにいたったのです。

・・このように、自分なりに根拠を持って考えを持つに至れたのは、

さまざまな立場、しかも一見矛盾かつ対立していそうな

視点・アプローチ・考え方を事前に獲得し、

なおかつ脳内で事前に意見を突き合わせていたからです。

これ自体はI.知識、II.理解で示した読書やニュース収集で行うのですが、

これを重ねることで、自分の脳内でさまざまな考え方を突き合わせることができるようになります。

これを小論文試験の事前に行っておくことができれば、

小論文試験当日で設問に対する解答アプローチに対して迷うことはほとんどなくなります。

また、さまざまな意見を脳内で突き合わせる過程で、各々のアプローチや主張の根拠も明確化されるので、

知識の引き出し(I.知識、II.理解)があなたの脳内に定着するという結果にもなります。

実際は、I.知識、II.理解のための読書やインプットを重ねるのと同時進行で、

III.定着のための考察・脳内議論も進行していくと思います。

このタイミングは人それぞれですが、だいたい関連図書の読書量が5~10冊を越えたあたりから

そのようなことができるようになると、僕は経験的に思っています。

I.およびII.でも述べましたが、

最初は批判なしの純粋なインプットとして読書し(I.知識、II.理解)、

そのうえで、インプットした知識同士を脳内で議論する(III.定着)、という順序を守ってください

このような方法で日常生活・医療現場・病院通院を眺めたり、ニュースをみたりすることで、

はじめて医療現場・医療時事・社会問題について、問題意識や批判的視点をもってとらえる能力がつきます。

けっして、インプットの時点では反対意見を挟まず、

反対意見を突き合わせたり批判することはインプットが蓄積した時点で初めて行うようにしてください。

この習慣づけが、あなたの小論文力を加速度的に高めます。

IV.記述 ~実際に解答してみよう~

今まで、I.知識、II.理解、III.定着で行ってきたことは、小論文対策の最小要素

「日常的な読書」

に対する具体的な訓練でした。

ここまで詳述してきたのには、理由があります。

それは、インプットの質がアウトプットの質を高めるからです。

しかし、インプットが的確に行われたからには、

のこりの行うべきことは、いたってシンプルです。

過去問題を解答してみる

です。

あなたが、I.知識、II.理解、III.定着を着実に行ってきたのならば、

多くとも3つほどこなせば十分でしょう。

そして、そのときに気をつけることはたった2つです:

「フォーマットに沿って解答していく」

「主語、述語、目的語を明確にした文で記述するクセをつける」

これらは小論文対策の最小要素、のこりの2つでしたね。

たとえば、以下の設問に答えることは、

「IV.記述」ステージであなたの小論文記述力を仕上げるうえで大変役に立つと思います。

※一部を除き、基本的に再現問題です。今後問題の一次ソースが手に入ることがあれば修正しますが、現時点では一字一句おなじ設問ではありませんので、そこはご容赦ください。また、文字数制限が実際と異なっているかもしれません。とはいえ、基本的な問われ方や問題の趣旨は変化ありませんので、十分参考になると思います。(なお文字数制限の目安は、どの大学も試験時間60分に対して1000~1500字程度です。

  • 「いわゆる『モンスターペイシェント』に関して、あなたの意見を800字以内で述べなさい」 富山大学2017年実施
  • 「医学部学士編入学生は、一般入試で入学した学生にどのような好影響を及ぼすと考えられるか、800字以内で述べなさい」 富山大学2017年実施
  • 「新渡戸稲造や内村鑑三から続く北海道大学の基本の理念を踏まえ、今後の医学教育がどうあるべきか、考えを1000字以内で述べなさい」 北海道大学2017年実施
  • 「以下の資料を読んで、以下の設問に答えなさい(※詳細は>>リンク先)」 大阪大学2017年実施
  • 「以下の資料を読んで、以下の設問に答えなさい(※詳細は>>リンク先)」 大阪大学2016年実施
  • 「基礎医学と臨床医学が分離して発展し、近年両者が一体化しつつあることが述べられている。分離して発展してきた理由についてあなたの考えるところを述べなさい。また、近年両者が一体化してきている状況についてあなたの知るところを述べなさい。(句読点を含めて800字以内) ※詳細は>>コチラ」 大阪大学2015年実施
  • 「(新薬の副作用による死亡例とその裁判に関するニュースの一部が初めに挙げられて)①医師の立場から考えることと、②患者の立場から考えることを、それぞれ500 字以内で述べよ」 大阪大学2013年実施
  • 「日本の医療は、カテーテルなど繊細な技術を要する分野ではトップだが、遠隔医療技術などの革新的な薬剤、医療技術の開発はほとんどが欧米でなされており、高額の医療費が海外の企業の利益として流出している。日本が医学(知財の育成、実用化を含め)のトップになるために何が必要か、1600字以内で提案してください。」 大阪大学2011年実施
  • 「近年、医師不足、医師の診療科による偏在・地域による偏在が問題となっている。これに対し、あなたは何を感じ、どのように考え、どのように対処していこうと考えるか。1000 字以内で答えよ。」 大阪大学2010年実施
  • 「基礎・臨床研究について、研究を成功させるためにどのように進めたらよいかを、未解決の問題・その解決方法・今後の発展の方
    向という3 点を踏まえて、1000字以内で述べなさい」 大阪大学2009年実施
  • 「高齢社会を 迎える日本の医療の課題について、1000字以内で述べなさい」 大阪大学2007年実

ここでもうひとつ大切にしてほしいのは、

(可能であれば、でよいのですが)誰かからフィードバックをもらった方がなおよいです。

とくに、経験豊富な年長者にお願いするのがよいでしょう。

例えば

  • 研究室に配属中の学生であれば指導教員、
  • 社会人経験や医療現場の経験のある先輩・年長者・上長、

などです。

逆に、経験未熟な人にフィードバックをもらっても、的外れな指摘を受けるリスクがありオススメできません。

たとえば、大学生のうちに、同年代の友人などに見てもらっても、

あまり有意義なフィードバックは得られないような気がします(こればかりは人によりますので、一概には言えませんが)

もし、フィードバックしてもらう人が見当たらない、

けれど小論文の構成力にも自信が持てない、

と言う方には僕も添削相談にのります(※2018.10.21停止中)ので、ぜひご遠慮なくご連絡ください。

オススメの本

I.知識、II.理解の項で解説した「読書・インプット」について、

ぶっでぃからオススメする本とWebサイトついて書いていきたいと思います。

医療現場・医療時事・社会問題・最新生命科学 の項目ごとにオススメを列挙していますが、

何を読むか迷った際は、各項目の最上部に掲げたものを読まれれば間違いないと思います。

医療現場 編

小論文では自分が医療従事者(医師)として、

どのような視点に立脚して、どのように行動すべきか記述することが求められます(【理論編】参照)。

いずれの書も、問題の本質をついているため、あらゆる設問に対する対応力をつけることができます。

医療従事者、非医療従事者かかわらずオススメします。

読み方としては、著者の視点、気持ち、思考にたって読む、熟読型が基本となります。

  • 医師の感情 : 医療の現場に携わる人が日々どのように葛藤し、そこから生じた感情的問題が患者にどのような不利益になるかまで洞察・解説してくれる。将来の医師としての生き方まで、深く考えさせられる。医療現場を知る書として、ぶっでぃからオススメしたい第一の書です。熟読型エッセイ。
  • 医師は最善を尽くしているか――医療現場の常識を変えた11のエピソード : 人間の生活・健康・生命に直接的な責任を持つ専門職である「医師」のあるべき姿について迫ります。様々なエピソードをまじえてあらゆる要因に縛られる医師の働きざまについて語られ、医師のあるべき姿に迫ります。熟読型エッセイ。
  • 医者は現場でどう考えるか : 診断する過程でおこる、医師の葛藤、誤診の可能性について言及しています。医療ミスについて、患者側の視点と医師側の両者にたつことができ、その結果医療ミスの問題について考察力をつけることができる良書。熟読型エッセイ。

医療時事 編

医療時事を理解するうえで最も大きな壁は、1つ1つの問題がバラバラに見えて、

一般社会の接点を知ったり包括的に理解したりすることが難しいことにあります。

これから紹介する2冊は、医療時事の大枠が医療関係者以外にも理解できるように記載されていますので、

医学部編入を目指す受験生にとって有用であると考えます。

(医療時事の細かい部分や現在進行形の部分は「社会問題」で取り上げているニュースサイトで補完できる)

この2冊は、

いずれも、日本医学会の開催に向けて、基調講演の要項をまとめたものです。

現場のプレーヤーというよりは、その道の第一人者によるレビュー集です。

そのため、若干俯瞰的な記述が多いですが、それゆえ僕たちに理解しやすいというメリットがあります。

医療時事を把握する上でぶっでぃがオススメしたい、というより

受験者としては必ず押さえておきたい2冊です

読み方としては、「情報を知ること・俯瞰すること」でありそこまで深く考えなくて良いので速読型が基本になります。

社会問題 編

I.知識、II.理解のステージでは、医療現場・医療時事についてインプットを優先すべきですが、

それらを基盤として、ニュースから最新情報を仕入れれば、

各問題に対する自分なりの考えを作り出すことができるようになります。

また、「医療時事」で紹介した2冊を読み、医療時事の大枠を捉えたうえで現在進行形のニュースを読めば、

医療時事の理解を更に深めることができます。

これを日常的に行えば、小論文問題への即興的な対応力をつけることができるでしょう(III.定着)

その際に役立つのが、以下に掲げる医療に関係するニュースサイトです。

医学・医療に関する特集記事も定期的に汲まれたりもして、大変参考になります。

読み方としては、「情報を知ること・俯瞰すること」でありそこまで深く考えなくて良いので速読型が基本になります。

※これらのサイトへ登録する際に「あなたは医療従事者ですか?」と問われますが、あなたは将来の医療従事者なわけですから(たとえ現時点でそうでなくとも)、Yesと回答し登録しましょう。身分は医学生でよいでしょう。

最新の生命科学研究 & 医学への応用 編

基本的に医療現場・医療時事・社会問題系のインプットを優先するとよいのですが、

最新の生命科学研究およびその医学への応用可能性もあわせてインプットできれば、

「科学・技術の発展が上記問題のブレイクスルーとなりうる」、

という観点で、小論文上の議論や解決策提示をできるようになります。

医療現場・医療時事・社会問題系のインプットを事前に確実に行ったうえで読むのが良いでしょう。

読み方としては、あなたの興味によって、速読型にも熟読型にもなります。。

  • NatureのAbstractや社会問題を扱ったReview記事は無料でも読めますのでオススメです。

(※補足)小論文記述力向上に(直接的間接的とわず)役立ちそうな書

直接的には役立たないかもしれないが、

言葉を使った説明、プレゼンテーション、論述、「ほれさせる」ことについて、

本質を解いています。

知っておいて損はないことばかり、というか読んでいて非常に面白い教養書なので、

ここであわせてオススメしておきます。

あなたの小論文記述力の向上に直接的・間接的に役立つことでしょう。

  • 言葉が足りないとサルになる : あなたが表現したいことを、適切に表現する力をつけさせてくれます。
  • マインドコントロール : 人の心を動かすこととは何かを理論的・多面的に事例を交えて考えることで、あなたが採点者の心を掴むにはどうすればよいかの洞察を与えてくれる。催眠療法について解説する部分があったりなど、医学部編入試験に直接関係はない記述もあるが、それらも含めて「人の心を掴む」ことの本質と洞察を与えてくれる名著。著者は京都大学医学部出身の精神科医。

まとめ

あなたが小論文の記述力をつけるためにすべきことは、次のとおりです

  1. 【理論】小論文は、フォーマットに沿って書くものであることを知る →>>詳細
  2. 【理論】フォーマットを用いた記述の具体例を見ることで、小論文とはどのように書くべきか、イメージを掴む →>>詳細
  3. 【実践】日ごろから(直前期は集中して)読書を行う →>>詳細 (※オススメ書籍は>>コチラ
  4. 【実践】ある程度読書を重ね知識が蓄積したら、複数の主張を脳内で議論させてみる →>>詳細
  5. 【実践】自分の手で小論文を解いてみる →>>詳細

以上が効果的であることの理由・根拠は【理論編】に、

具体的な行動は【実践編】に、それぞれ解説しました。

これを完璧にこなせば、あなたの小論文力は飛躍的に向上します。

しかも、学力試験の対策を主に行っている最中でもスキマ時間を縫って行うことができるので、

直前になってあせる必要もありません。

また、かりに直前期から始める場合でも、

上記と同様の対策を集中的に行えば、

やはり小論文力を飛躍させることができます。

あなたの小論文力が磐石となり、

合格を掴んでいただくことを、心から願っています。

もし、小論文の記述力について疑問・不安があったり、

あなた自身の小論文への回答が、本当にこれでよいのか不安だったりした場合は、

メールでご相談(※2018.10.21停止中)ください。

いつでもあなたの味方になります。


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