【医学部編入】志望動機書の書き方のひみつ。あなたの経歴はあなた自身のとらえ方で変わる!

 

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こんにちは!

ぶっでぃです^^

今日も、メールいただいた方のお悩みを中心に、

記事をまとめていきますね!

先日頂いたご質問は次のようなものでした。

「私は物理系なのですが、志望動機をどう固めてよいかわかりません」

「文系卒なのですが、キャリア面で不利にならないか不安です」

みなさん、ご自身の過去の経歴が本当に生かせるのか、お悩みなのがよくわかります。

このたびもご質問いただきまして、ありがとうございます!

そうですね。

志望理由を固めることの大変さは、あなた自身がいちばん感じているのかもしれません。

というのも、いざ医学部編入試験の勉強を始めて、勉強仲間ができてくると、

  • 看護師などの有資格者や理・農・薬・歯・獣医・工の生物系学科出身者が多く、
  • さらに東京大学、京都大学、慶應大学、 上智大学など、いわゆる名門出が多い

・・・ことがわかるからです。

もし上記のうち一つでも当てはまらない箇所があると、

自分の経歴が本当に「医学部編入に向いているかどうか?」というのは自信が持てなくなってきますよね。

かくいう僕も、

  • 工学系(化学工学=機械+化学、ともいえる分野で、生物系の経験がゼロ
  • 博士修了後、民間就職(受験時30歳を超えており、決して若くはない

という状況で、本当に面接などで僕の経歴が不利にならないかどうか不安でしたから・・

当時は、年齢や経歴で合格可否に影響するという噂を否定しきれませんでしたから、

あなたがご自身の経歴が原因で不安になるのは、無理からぬことだと思います。

この悩みを分析すると、

次の2つのステップの疑問に答えられるかどうか?

ではないでしょうか。

  1. 生物系・名門ではない自分の経歴は、面接で不利に働いてしまうのではないか?
  2. かりに不利に働かないとしても、しっかりと出願書類や面接で説明できるのか?

実際のところ、どちらの疑問も解決しなければ、

安心して勉強したり試験に臨むことはできないと思います。

この点で、漠然とした現在に対して言葉にならぬ苛立ちや不安がよぎり、

勉強に集中できないという声もよく聞きます。

これは多くの受験者が経験することです。

しかし、多くの受験者が経験することだとすれば、裏を返せば、

この問題を解決すれば、あなたは大多数の受験者に対して、

簡単かつ圧倒的に優位な立ち位置につくことができる

ということでもあります。

この記事では、

「あなたのこれまでの経歴が、不利に働くことはあるのか?」

にお答えし、さらに

「あなたが自分の経歴を、医師という将来の道筋につなげて説明できる方法」

について解説していきます。

目次

「あなたの経歴が不利に働くことはあるのか??」の実際。 とらえ方が変われば説明も変わる!

自らの経歴が不利になるかどうか?を考えるにあたって、

私たちはどうしても、

世間の評価を考えてしまったり、医学部にとって私の能力は必要とされているのか?を考えてしまいます。

しかし、このような「外側の情報」ばかりを考えると、

どんどん外側の情報に目を奪われ、気づけばネットやSNSを周遊して数時間・・・

などということに、なりかねません。

あなたは経験ないでしょうか・・・? 僕は、多々あります(笑)

ですが、今いちど冷静に考えてみると、

医学部編入において、出願・書類選考・面接選考で、

あなたは、

  1. 過去現在の流れから、なぜ医師を目指したか
  2. 現在未来の流れから、医師になってどのような貢献をしたいのか

を説明することが、本当は大事なのではないでしょうか?

そして、ここがとても重要なポイントなのですが、

あなたが1.を2.を説明するにあたって、

最も大事なアプローチ・とらえ方は、

1.「過去現在」は、自らの内側を見つめ、

2.「現在未来」は、自らの外側を見つめる。

ということです。

ですから、過去現在である自らの経歴を医学部の教授陣に伝えるときに、

考慮すべきは世間の評価という自分の外側ではなく、

あなたの経歴をあなた自身、どのようにとらえているか?(自分の内側)

ということが重要になってくる、ということです。

(※冷静に考えると、そもそも何を専攻したか?何歳か?などに対する評価は、人それぞれです。ということは、常識など本当は存在しない。そうであれば、大事なのはやはり自分自身でどう捉え、言葉で人に説明できるか、だと思います。)

もし、あなた自身が現在、自らの経歴をネガティブにとらえている場合、

あなたが医学部の教授陣へ自らの経歴を説明する際、

どうしてもネガティブな部分が出てしまいます。

たとえば、あなたがどんなに言うことが前向きで、医学への貢献を言葉でプッシュしていても、

目が泳いでいたり、自身なさげだったり、どうも言うことが矛盾だらけだったり、一貫性がなかったりして、

医学部教員は不信感を抱いてしまいます。

一方、あなたが自らの経歴に対して、とらえ方が前向きなものに変われば、

医学部の教授陣への切り口がポジティブなものに変わるはずです。

そうなると、あなたは自らの経歴を活かしてどのようなことができるか

という考え方に変わってきます。

そうなれば、たとえ、いわゆる「圧迫面接」を受けたとしても、

「おっしゃるとおり私は○○という面で遠回りしてきましたが、それは○○という自分の中での希望がそうさせたのであり、これによって得られた経験は数年の遅れを取り戻すのに十分なものであると考えます。その理由は・・・」

などといった切り返しも可能になります。

また志望動機書などに、想定される突込みに前もって反論しておくなども可能になります(そしてそのような志望動機書は好印象となります)

この項では、

まずあなた自身が、ご自身の経歴に対して前向きに捉えられるためにはどうすればよいか!?

その答えとなる「処方箋」を書いていきたいと思っています。

具体的には、あなたがついネガティブ要因に捉えてしまったり、

なぜ医学に転向したか説明しにくい事項について、

このように捉えてみたら楽になるかもよ?

という提案を僕なりにさせていただきます^^

年齢による影響

年齢による有利・不利は、厳然として存在し、拭い去りがたい差を生み出す。

実際のところ、このように思われている方が多いと思います。

2005年、私たちにとって印象的な出来事がありました。

55歳の主婦が群馬大学医学部を受験し、合格者平均点より10点上だったにもかかわらず、不合格になったのです。

これを不服とした受験者は群馬大学を提訴しましたが、結局「年齢による不合格」を立証することができず、原告(受験者)の請求が棄却されるという結果に終わっています。

このニュースにより、

医学部による「年齢差別」

というイメージが固定化したのだと思います。

あくまで予想ではありますが、

年齢によって合格のハードルは異なることは、ある程度予想できると思います。

年を重ねるごとに、経験は増していくはずですから、

そのぶん求められる能力・人格は円熟され洗練さたものが期待される傾向にあると考えるのは確かに自然な考えです。

しかしながら、年齢を理由として即刻不合格になる、

という極端な例はないようにも思われます。

実際に、毎年数名の40歳代の方が、全国のいずれかの大学に合格しています。

実際のところは、年齢ごとに求められるハードルが異なることと関連して、

年齢ごとに異なる強みを持つという考え方もあると私は考えています。

これについては既に別記事にまとめており、

今あなたの年齢に合わせて、どのような切り口で志望動機を考えていけばよいか参考になると思います。

分野による影響

医学部編入試験において最も重要な科目は、やはり生命科学でしょう。

というのも、医学部編入試験において生命科学を課さない大学は(ほとんど)ないからです。

そのため、試験勉強開始時点で、

生命科学に対する理・農・薬・歯・獣医・工学部の生物系出身者が有利と思われがちです。

また、アドミッションポリシーから、研究実績を求めるかのような大学があるのも確かです。

しかしながら、生命科学という科目で点を取るには、成長曲線の記事で述べたように、

学習初期の伸びが著しく大きいため、粘り強く学べば初学者でも十分挽回できる科目です。

また、研究実績において、生命科学に直接結びつく分野の研究実績である必要は全くありません。

研究への熟練度とは、ピペット操作や顕微鏡観察といった実験操作への習熟や、生物関連の周辺知識があるかどうかで問われるものではありません

真の意味での研究への熟練度とは、研究デザインのセンス(=経験の場数)データ解釈(=これも経験の場数)のセンスを指します。

たとえ生命科学研究の経験がなかったとしても、他分野の研究で(とくに自然科学や社会科学分野で)何らかの成果を上げていれば、

その研究の背景と研究成果の意義を説明できる限りにおいて、研究経験あり・一定の研究センスあり、とみなされます。

つまり、結論を言うと、生物系のバックグラウンドを持ったすべての受験者が、

生物系の出身者と比較して不利かというと、そんなことはありません。

実際、2科目型(生命科学+英語)の大学で、生物系出身者とそれ以外の分野の出身者では、

合格実績を二分している状況です。

これは、生物系出身者が必ずしも有利にならず、

他分野出身者でも十分生物系出身者のアドバンテージを覆せることを示しています。

また、4科目型の試験を行う大学については、

非生物系のなかでも、とりわけ物理系や工学系出身の方が、有利に働くことがあります。

4科目型の大学では、物理学、物理化学、統計学、数学などが出題されます。

この科目は、そもそもが習得を苦手としている人が多い科目であり、

一方で物理・工学系出身者は、まさにそれが専門であるわけですから、

彼らに一日の長があると考えるのが自然です。

また、学んでみると分かりますが、生命科学は、「暗記科目」と捉えてしまうと非常につまらないものですが、

「物理学・化学の理解に立脚して生命現象の正体に迫る学問」と捉えると、

物理学や化学を修めた人間にとって非常に面白い学問であることに気づきます。

これを究めると、生命科学を理解するための背景となる知識や経験、思考の幅という意味において、

生物系出身者よりも圧倒的に有利という状況を生み出すことすら可能であるはずです。

以上より、生物系出身でないことは、編入学試験において何ら不利にはならない

ということがお分かりいただけたかと思います。

  • コラム: 研究未経験者である文系は、良医育成型の志望動機・受験校に的を当てるのが「最適解」か??

メールでの相談を受け付けて以来、タイトルのような質問をよく受けます。

しかしながら、そうではありません、と毎度お答えしています。

それはマジョリティーですが、唯一の解ではありません

まず、合格可能性の観点から言うと、

研究者養成型の(かつ4科目を課す)大学ほどいわゆる名門と言われる大学が多く、

経歴を気にせず学力の試験成績を重視する傾向が強くなります。

学力を十分に備え、面接で自らの経歴を説明できれば問題なく合格する大学が多い、ということです。

むしろ、良医育成型の方が、学力以外の要素を見る試験、

たとえば書類選考を設けたり、圧迫面接だったりと、

意外に合格までのハードルを高くする意図があるような試験を課す大学が多いように思います。

では、研究歴がないのに研究医を志望してよいのか?ということですが、

これは志望してよいのです。

たとえば、医学・医療の分野で何か切り開きたいものがあれば、経歴に関係なく研究すべきです。

というのも、現在、医学・医療の分野で研究をしよう!という意欲のある人が減ってきているからです。

そのような状況で、研究を志してくれるのは、大学とすればそれだけで嬉しいはずですし、

また人文・社会系の人材として医学研究に携わるのであれば、理工系や生物系にはない視点を持ち合わせており、

自然科学に偏りすぎないバランスの取れた医学研究を行うという意味でも好条件であるように思われます。

たとえば私のいる阪大では、物理系の出身者の多くが、生命科学研究の方法論で研究を実施しています。

あなたにとって、文系→医学、もしくは研究未経験→研究者という変更はあまりに突飛な分野変更に映るかもしれません。

ですが、実際は、

あなたにとっての人文・社会科学→生命科学という分野変更が、

他の人にとっての物理→生命科学という分野変更と、本質的に同じ

と思えるかどうかが大事です。

また、医学の世界では、社会医学という分野があります。

※研究するからと言って、必ずしも自然科学を標榜する必要がないのが、医学の魅力だと私は考えています。

この分野は実地のデータを統計処理して1つの相関関係を見出す、疫学 という方法論を用います。

もしあなたが社会科学系(ことに経済学、経営学、行動科学)を専攻していたのであれば、

比較的なじみの深い研究手法だと思います。

あなたにとってなじみのある方面からアプローチして、その分野の中でやりたいことを探してみて、

その「やりたいこと」の意義と既往・現状と将来の展望を面接で明確に語れれば、

面接では間違いなく好印象でしょう。

学歴による影響

受験者層は一流大学出身じゃないと不利ですか?

学歴が合格に関係するのですか?

という疑問を時々耳にします(これは僕のサイトで前々から記事にしていたので、さすがに僕に質問してくる人はいなかったですが・・)

しかし、出身大学を問わず合格している、というのが僕からの答えです。

詳しくは>>こちらの記事で既に述べているので、気になる方はご参考ください。

たしかに、東大・京大理系出身の合格者は多いですが、

彼らはが多いように見えるのは、受験勉強において成功体験があるという自信と、

実際に勉強の仕方を知っているという実務的なアドバンテージがあるからにすぎません。

実際は、受験勉強のやり方さえマスターし、戦略を立てて適切に努力すれば、

学歴は関係なく合格します。

(そうでなければ、いわゆる名門出以外の受験生が合格している事実を説明できません)

学生時代の影響

以前、次のような悩みを抱えた方々が、僕にメールで相談しに来たことがあります。

「4年間大学に行き、ゼミにも通ったが、卒論を提出していないことに後ろめたさを感じている。」

「留年してしまった、、、」

これは、ご本人にとっても辛い思いをされたのだと想像します。

というのも、やる気を出したいときにやる気を出せなかったとき、

それによって思うように行動できなかったり結果が出なかったりで、一番つらいのは自分自身ですからね。

このような辛さを経験すると、その時だけでなく、後々後悔が引きずってしまうものです。

このような場合どのように捉えたらよいのでしょうか?

各々の場合を、ケーススタディとして考えていきましょう。

  • 例1:卒論を提出しなかった(学士限定、修士・博士除外)

卒業するとき、みんなは卒論を出していたのに自分は出さずに卒業してしまった・・

そのような経験があると、たしかに後ろめたくも感じるのでしょう。

そして、その気持ちが「もしかしたら卒論を提出しなかった自分はもしかしたら経歴面で不利になってしまうかも・・」

自分自身を不安にしてしまうのかもしれません。

しかし、ご安心ください。

結論から言うと、

出願時も、面接時も、「卒論を提出しなかった」という事実は大学側に言わなくてもOKです。

理由としては2つあります。

1つ目は、言わなければ、先方は出したものとして考える、からです。

ただ、一つ注意しなければいけないのは、卒論を提出した場合は、

志望動機ではうまく書けても、面接選考において、

先方がその研究テーマについて詳細を聞いてくる可能性が否定できないことです。

もし、卒論での研究内容について、さらに突っ込んで 聞かれた場合、

あなたが所属研究室・ゼミで関わっていた研究や調査に関する概要(背景、意義、既往の研究、展望)をお話しすればよいでしょう。

そして、説明した研究の全体像の中で、自分はどの部分を担い、調査し、勉強したかを伝えたら大丈夫です。

2つ目は、文系限定の理由です。

こういう言い方をしては失礼かもしれませんが、

文系で学部卒業の時点では、卒論提出の有無は誤差だから、というものです。

卒業研究の研究室配属が行われる理系4年生では、早々に実験や解析を行わせてもらい、それなりの成果を出すことができます。

一方、文系の学部時点で新しい知見を生み出したということは、あまりないと思われます。

自分は研究室全体の中で、何をどこまで担当し、何を実行した結果、どのような成果が得られたか?

そこまで厳しく突っ込まれることもないと思われます。

私の知り合いで文系修士(法学)がいますが、文系ではそういう調査・研究を行って論文にまでまとめるの博士レベルだそうです。

修業年限である3年を大きく超えて成果を出し、やっと集大成である博士論文を書けるのだそうです。

つまり、学部卒業時点で、所属するゼミで博士レベルの働きも成果も求められることは、通常あり得ないことです。

ということは、卒論を提出しようがしまいが、他人の焼き直ししかしていないという点では全く変わらないということです。

これを文章にまとめた経験があるかどうかは、日ごろから研究成果を出して論文化している医学部教授陣から見れば、

ほとんど誤差として考慮されないと考えるのが妥当でしょう。

つまり、あなたの卒論提出の有無に関して、とるべき基本戦略は

言わなくていい、気にしなくていい、聞かれても他人のやっていることを説明できればいい、

です。

  • 例2:留年してしまった

あなたがもし、留年した経験があるとすれば、

採用側から見ると、履歴書を見ると「留年」はわかってしまいますもんね。

もしかしたら、多少なりとも後ろめたい気持ちを持っているのかもしれません。

留年するというのは、(当初から意図してそのつもりで行動してしない限り)多少なりとも辛い気持ちになるものだと思います。

そして、その後ろめたい気持ちによって、自分は不利になってしまうのではないか?

・・・と自分自身を不安にさせてしまうのかもしれません。

しかしながら、そのつらい経験は悪い事ばかりではありません。

この経験を通じて、あなた自身の内面を見つめることで、

自分にとってのポジティブな望む姿を浮き彫りにすることができるのです。

結果として、それが、あなたのアピールポイントにできることがあります。

実際のところ、留年は全く悪い事ではありません

そう思っているのは、留年した張本人だけだったりします。

どういうことかというと、留年にかかわらず、いかなる事象であれ

「動機・行動・プロセス・学びのいずれかをポジティブに説明」できれば

マイナスどころかプラス話に聞こえるということを覚えておいてほしいと思います。

具体的には「あなたの中にある理想の姿と現状のギャップが、

留年をしてまで〇〇するという行動にあなたの行動に駆り立て、

結果として、〇〇という自分にとってかけがえのない成果が得られた」と説明することです。

そしてそのとき大切にしなければならない姿勢は「他責ではなく自責」でいく、ということです。

たとえば、もしあなたが就職浪人したのであれば、

卒業を遅らせたということは、自分にとって何が大切だから、遅らせたか?ということです。

仕事など、本来は選ばなければいくらでもあるはずです。

いくら最終学年に希望の就職先が見つからなかったからとはいえ、

卒業を遅らせてまで自分にとって望む就職先に進むことを選んだということは、

何かあなたが目指すものがあり、妥協できない何かがあなたにあったからではないでしょうか?

留年したからには、何らかの理由が「あなた自身の中に」あるはずです。

たとえやる気が出なくて勉強する気が起きず、留年してしまったとしても、

その理由を自分の中に深堀した時、何らかの「あなたにとっての理想」があるのではないでしょうか?

その「あなたにとっての理想」が、あなたの経歴をあなた自身で前向きにするチャンスといえます。

そして、そこを強調した前向きな動機を書くことができれば、面接での有利・不利問題は消失されます。

ただ、この記事では以上の総論にとどめておいて、具体論を書くのは控えておこうと思います。

もし、あなたに思い当たるところがあり、具体論を知りたい場合は、

この記事ではなく直接ご連絡をいただければと思います。

一度選んだ職業を退職する、という影響

あなたが現在職に就いていたり、一度職に就いたことがあるのであれば、

一度自分で選んだ仕事を退職することに対して、

自分が何かを諦めてしまうかのような錯覚に陥り、自己嫌悪感に苛まれるかもしれません。

特に終身雇用制度の文化が色濃く残る日本では、尚更その傾向は強い事でしょう。

僕も会社勤めをしていましたから、この気持ちはよくわかります。

実際、退職する際は、入社に志した目標を諦めてしまうことについてや、

実務面で滞りなく業務遂行できるまで育てていただいた恩が頭から離れず、

随分と悩んだものです。

しかし、そもそも僕が会社勤めをしようと思った理由を思い返して、

上記の悩みは些細なものだと気づくことができました。

すなわち、僕自身が高専→博士までに取り掛かってきたことの集大成として、

一人前になるべく、現場で人・物・金を動かす経験をするために就職したのだと。

一通り経験し、実務面で一人前になった際に、改めて自分の人生の進む先を考えても遅くないだろうと思ったのです。

実際のところ、今までのあなたでは考えられなかったけれど、

今のあなたは将来に向けてチャレンジングな働き方をしたいと願っている。

もしそうなら、あなたは自由に転職をすべきです。

なぜ「すべきです」と断言するかというと、日本も今後は転職が当たり前の時代に突入していくからです。

そして、転職は恋愛と同じで、実行に移す直前は恐る恐るだが、

いちど実行してしまえば、次からは平気に行えるもの、とも言われます。

これからの時代、会社がゼロから育てて定年まで面倒を見てくれるなどということはあり得ないことです。

そうではなく、現状の自分の働き方に閉塞感(=このままここにいても理想は叶えられないという気持ち)を覚えたならば、理想を叶える次なるステップに向けて早々に転職するのが正しい姿です。

じつは、一度選んだ職を辞めて新しい職を見据えるという意味では、

医学部編入学は転職と同じです(医師国家試験の受験要件に医学部卒業があるから、就学するだけの話です)。

ですから、あなたが目指す医学部編入においても、

転職と同じく次なるステップに向けたキャリア構築なのだと堂々としていればよいのです。

もし、あなたも一度勤めた会社を辞めて医学を志ことに後ろめたさを感じたなら、

  • そもそもこの会社を選んだのも〇〇という業界で働いてみたい、という程度の思いだった
  • 働いてみて、プロジェクトや自分のスキルにひと段落付いた時点で、改めて自分の人生の進む先を考えようと思った
  • 医学部編入学は、近年定着しつつある転職と全く変わらない。

と捉え、堂々とそのように志望動機書に書かれることをお勧めします。

また、その理由があなた自身の中でしっかりと腑に落ちたものであれば、

面接選考の段階で同じことを聞かれても、整然と落ち着いて説明できるものとおもいます。

上記の動機を、具体的に文として起こす方法については、

次の「志望動機書の書き方」項をご覧ください。

おまけ ~自分の経歴を前向きに捉えるポイント~

ここまでは、

医学部編入を目指すにあたり、

あなたの経歴の中の一見ネガティブなものと捉えてしまいがちな要因に対して、

僕なりの捉え方を提案させていただきました。

しかし、それを活かしてあなたなりの志望動機を考えるには、

思う一つどうしても外せない心理的基盤があります。

どうしても書かずにはいられなくて、この項にまとめて書いていきたいと思います。

先ほどから自分の経歴に対する前向きな捉え方、と述べているのですが、

これをもっと本質的で、かつ分かりやすい言葉で言うと自信ということになります。

この自信のつけ方について、僕なりの考え方を書かせてください。

あなたの身の回りを振り返ってみるとるのではないでしょうか?

落ち着いて、自分の考えを堂々と話す人。

こんな人を自信のある人と呼んだりするのではないでしょうか。

一方、やけに理屈っぽく話したり、人の顔をうかがう人。

こんな人は、自信なさげな態度、と呼ばれたりしてしまうのでしょう。

もし仮にあなたに自信(=自分の経歴および医学転進という分野変更に対する前向きな確信)がないとしたら、

仮にあなたが東大法学部出身であっても京大理学部出身であっても

自分の経歴をネガティブに捉えてしまうかもしれません。

僕も、20代後半までは自分に自信を持つことができない青年でした。

今ではだいぶ自信というものの正体をつかんで、

それなりに自分の考えを発信できるようになりました。

もしあなたが、すでに

自分はもう自信もついているし、

自分の経歴を胸を張って人に説明できる。

志望動機だって自分で考えられる。

という状態であれば、この記事を閉じていただいてかまいません。

しかし、現在のあなたが、

自分の経歴を、どうしても前向きに捉えることができない。

自信も持てない。

人にどう説明すれば分からない。

・・・ということであれば、僕はあなたに「自信」と「自分の過去への確信」を持ってもらうお手伝いができるかもしれません。

ここでは、僕なりの経験からつかんだ「自信の正体」をあなたにシェアし、

あなたに自分の経歴を前向きに捉えてもらうお手伝いをしたいと思います。

では、実際のところ、自信とは何なのでしょうか?

その前に、これは自信とは呼ばないな、と僕が思うものから列挙します。

  • 自分がすごいと根拠なく思うこと(※本当の「根拠のない自信」には小さな根拠の積み重ねがあります。)
  • 大きな未来を描いている(※大いに結構なことですが、これは自信ではなく夢と呼びます)
  • 大きなことを成し遂げたという実績(※きっかけとしては有りだが、そこに自分の行動と意識が結びつかないと×)
  • 人に誇れるような経歴・所属(※自信を外に向けて求めており、精神的安定が外部に依存しており不安定です)

ですから、自信がない状態で上記を持とうとしても、

それは虚栄心から来る虚勢ということになります。

その状態では自信がないのに上記項目にしがみつくこととなり、

人生に対する姿勢・考え方・価値観が「これらを守ること」に入ってしまいます。

このような心理状態で、医学部編入するに至った志望動機を

いくら上手く考えようとしても説明・記述にはどうしても矛盾が生じてしまいます。

というのも医学部編入とは本質的に「自分の人生を変更する攻めの行動」だからです。

にもかかわらず、自らの人生を守りに入ってしまっていると、

そこに対する的外れな志望動機しか述べることができないのは当然ではないでしょうか?

志望動機に対する矛盾も生じてきてしまいます。

当然、採用する側も己の人生や社会に対して攻めの意識を持ってくる人材を期待していますから

守りの意識を持っている志望者の矛盾や姿勢は、即座に見抜かれてしまうでしょう。

それでは、自分の過去を前向きに捉え、

本当の意味で自信をつかむにはどうすればよいのでしょうか。

それは、

自分の小さな一歩を踏み出し、

その勇気と行動を自分で認め、

「なんだ、案外やるじゃんオレ(私)」と思えるかどうか

だと思います。

一つ一つの小さな意識・意志・行動に対する自己承認が自信を生むのだと思います。

成果や実績や優秀さを自信の糧にしようとすると、なかなか自信を持てないものです。

それらのうち、自分の満足したものがが得られないうちは、自信が得られないからです。

しかし、世の自信家たちは、それらを得る前から自信があるかのように振舞います。

その実態は、たとえ成果が伴っていなくても、

一つ一つの行動に対する承認があなたを確実に自信のある状態に導いている、というものです。

たとえその行動が世間的にはちっぽけなものであったもしても、

あなたにとって大き「勇気」を持った行動なら、

それだけ承認した効果(=自信)は大きくなります。

かのホリエモンは、全国をヒッチハイクで行脚した際、

高速道路のPA/SAでひたすらドライバー相手に交渉を重ねた経験が、大きな自信を生み出してくれたと行っています。

ヒッチハイク行脚というのは世間的には確かにちっぽけなものかもしれません。

しかし、それまで塞ぎ込みがちだった堀江少年を事業に向かわせる力があったのです。

それば、彼が断られる怖さを乗り越えて勇気を出して交渉を重ねたからだと堀江氏は言っています。

あなたも、たとえば富士山登頂にチャレンジしたのでもよいし、

かつての出身大学へ浪人の末粘り強く合格したのでもよいですし、

何より今まさに難関の医学部編入に果敢に挑もうとしています。

そのような思いになれたあなたを、まずあなた自身で承認してあげるようにしてください。

大事なのは、あなたの優秀さ、実績、人望、スキルといった、状態を承認するのではなく、

「自分はいつも一歩足を進めてきた」という意志、意識、行動面を承認することです。

実際のところ、あなたの意志、意識、行動の積み重ねによって現在のあなたがあるのです。

つまり、現在のあなたを信じてあげられるのは、まず最初にはあなたしかいませんし、

そのためには、自分を作り上げてきた意志、意識、行動そのものを承認するほかに、方法はないのです。

志望動機書の書き方 ~自分の経歴を、医師という将来の道筋につなげて説明できるには?!

ここからは、実際の志望動機書の書き方に移っていきます。

まず形式論として志望動機書のフォーマットについて説明します。

これは、あなたがなぜ医学部編入するに至ったか、

予め先方に説明するためのプレゼンテーション・ステップです。

志望動機書のみならず、面接選考でもきっと役立つことでしょう。

その後、実際にフォーマットに当てはめて書いた志望動機書(ぶっでぃ例)を示します。

ご自身に重ねたり、新しい考え方を得る等、参考になる部分が多いと思います。

上に説明したプレゼンテーション・ステップと、

その実際例を徹底的に学び取り、

あなたならではの、渾身の志望動機書を作り出してみてくださいね^^

志望動機書のフォーマット 決定版はこれだ!

突然ですが、あなたは、なぜ医師になりたかったのでしょうか?

この理由を、あなたの中で明確にするために、

これから説明するプレゼンテーション・ステップ=志望動機書のフォーマットが大いに役立ちます。。

このフォーマットにもとづいて志望動機を固めることは重要です。

なぜなら、これがこれからのあなたの戦略策定勉強計画方針志望動機書の作成、面接対策・・・

全てに影響を及ぼすからです。

また、これに基づいた未来を鮮明に描けるかどうかで、

勉強へのモチベーションも全然変わってきます。

ぜひ、この点は、ご自身の中で納得いくまで、

妥協せず繰り返し問い続けてほしいと思います。

すなわち、医学部編入全般に及ぼす影響が大であると捉えて、

何度も推敲を重ねるうちに、

あなたならではの、唯一無二の(そしておそらく説得力がたの受験者と段違いの)

志望動機書が出来上がるはずです。

考えるべきフォーマットは以下のようになります。

  1. なぜ今の専攻を辞して医学・医療を志すか
  2. なぜ医師である必要があるか (つまり他の医療職や生物系・医学系研究職でなく、医師か)
  3. 医学・医療の発展に、どのような寄与をしていくか (より具体的な寄与)
  4. なぜ〇〇大学

ぶっでぃの志望動機書を公開!

ここまで、あなたの経歴の捉え方、抽象論、理論を語ってきました。

しかし、それをいくら学んでも、

実践のレベルまで落とし込むには、やはり多くの経験が必要となります。

とはいえ、あなたの志望動機書の構想をたて、文章を構成し、推敲し、他者からのフィードバックをもらい、

最終的に出願し、選考結果としてのフィードバックを受ける・・・

といった一連の流れを行うためには、相当な時間と労力が必要になりますので、

個人が短期間でそう何度も行えるものではありません。

場合によっては一つの志望動機書を試行錯誤する中で、3年や5年もの時間を失ってしまう恐れもあります。

当然そこからも学びはあるでしょうが、あなたの時間は有限なので、何度も失敗ばかりを繰り返すわけにはいきません。

そこで、手っ取り早く経験値を上げるためにあなたにやってほしいことが、実際の志望動機書の具体事例を徹底的に学ぶということです。

具体事例を徹底的に学ぶということは、あなたがその志望動機書を実際にゼロから書き上げることに近いレベルで知識を得られます。

この項では、ぶっでぃの実際の志望動機書(志望動機書を提出する大学が阪大だけだったので、阪大の例だけです)を用いて、

実際に大きな成果を出してきた出願手続きの裏側を、あなたの目の前で惜しみなくすべて公開します。

どういうきっかけで医学部編入しようと思ったのか、

なぜ医師でなければならないか、その理由、医師としての貢献、その大学でなければならない理由など・・

ぶっでぃが志望動機書を書き上げる過程で、脳内でどのような議論が繰り広げられたのか、

実際に使用した下書き原稿はどんなものか、どのような思いが書き連ねられているのか・・

これを何回か熟読すると、ただ理論を学んでいるだけの人とは比較にならないスピードでスキルアップします。

留意してほしいのは、ここに挙げたものはあくまで1つの例である、ということです(フォーマットはそのまま利用して構いません)

僕なりの考えで阪大を志望した理由はこれ、というもので、正解はありません。

しかしながら、ここから学ぶべき最大限の着眼点は、

  • いずれの項に対しても具体的かつ明確に記述すること
  • そのために事前研究を念入りにしていること
  • 普段から医学部編入する動機を言葉にするための思考をしている
  • IIは「過去現在の流れから、なぜ医師を目指したか」であるが、冒頭に書いたように自身の内側を見つめた発信とすること
  • IIIは「現在未来の流れから、医師になってどのような貢献をしたいのか」であるが、冒頭に書いたように自身の外側を見つめた発信とすること

・・・ということです。(※1)

具体的に記述する、というただ一点において、

「このような書き方もありか!」とあなたが思える部分が見つかればうれしいと思いますし、

もしそうなら積極的にパクるようにしてください。(※2)

※1・・・今医学生となった立場から見ると、特にIIIについてまだまだ具体性・完成度という意味で完璧とはいいがたいですが・・・自分の外側も全然見えてないし・・・ですが、あえて出願当時の文をそのまま載せています
※2・・・さすがに文章まるパクリというのは勘弁してほしいのですが、、、書き方、表現方法、考え方などは積極的にパクリ推奨です

  • 志望動機書(阪大提出版;文字数調整済み)

I. なぜ現職を辞してまで医師を目指すか
出願者は学生時代よりものづくりの分野を切り開く研究をしたいと願い、「化学工学」の分野で博士号を取得した。学位取得後、ものづくりに直接携わりたいと考え、総合化学メーカーのプラント設計業務に従事する道を選んだ。民間企業での経験は、学術研究だけでは知り得なかった多くの学びをもたらしたが、一方で化学工学は産業への寄与という点ではすでに完成された学問(というより方法論)であることも実感した。新たな分野を切り開くことに挑戦したいという気持ちが日に日に強くなったことから、再び研究者を志そうと考えた。
医学に興味を持ったのはこの頃である。学生時代にはなじみの薄かった医学や生命科学ではあったが、学び進めていくうちに、物理学や化学を修めた上で学んでみると生命科学は実に面白い学問であることを知った。物理学・化学は諸原理がほとんど解明されているのに対して、生命科学は未知のものがまだ沢山あることも魅力につながっていると思う。さらに、その応用学問である医学は、解明すべき機序、開発すべき治療法が多数存在するのは勿論であるが、その価値観、幸福観、倫理観などといった社会的・哲学的側面を有しており、学問体系自体が非常に魅力的であると感じている。

II. なぜ医師である必要があるか
単に研究者を目指すのであればアカデミアの研究室に再び所属する道もあるように思う。しかしながら、医学研究ではその命題が「治療方法の開発」にあるはずだから、出願者は医学研究を有意義に進めるためには、ラボスケールの機序解明のみならず、臨床試験まで一貫して研究者自身が関与する必要性を感じている。これは学生時代の研究や、民間企業での設計・開発の経験から、そのように考えるためである。また、医学のための研究であれば、それに従事する者は人体の機能・構造と疾病に対する体系的な知識を有し、医療行為の経験も必須であろう。さらに、基礎医学の中でも病理学や法医学分野で研究者を目指すのであれば、病理診断、剖検、司法・行政解剖が医行為であるため、医師免許は必須である。以上より、「医師」になることは、医学研究者となるうえで大いに重要であると出願者は考えている。

III. 医学をどのように切り開いていくつもりか
現在の個人的な興味として、病理学、免疫学、神経科学、法医学、精神医学などがある。しかし、いずれの分野に進むかに関係なく、推し進めたい方向性がある。個人的な思いではあるが、今後の世界規模での潮流として、人々は「病気をいかに治すか」ではなく「病気にいかに罹らないか」を重視し、医学にもそれを求めるのではないかと思う。すでに予防医学、先制医療という言葉や分野が現れ、重要性を増してきている。出願者は、自ら選ぶ専門分野で研究を推し進めながらも、「健康という観点から医学は社会に何を提言できるか」を追求しつづけたいと思う。それが医学・医療の未来を紡ぐことだと信じる。

IV. なぜ大阪大学医学部か
①基礎研究の質的・量的優位性:研究のレベルが高いということは、研究者の層が厚いということである。研究者として自己研鑽し切磋琢磨するには最良の環境である。
②基礎から臨床医学への橋渡し研究が盛んであること:上述したように橋渡し研究こそ、医学研究のあるべき姿だと考えており、出願者の価値観に合致する。
③伝統的に高い臨床力と、4つのイニシアティブの設置:これは阪大が医学のみならず医療においても日本をリードする大学ということであり、医師としての研鑽を積むにも最良の環境である。以上のように、大阪大学医学部では医学研究者として研鑽する環境が整っており、出願者の目的と合致する。

  • 志望動機書(素材;文字数調整なし)※完成度は低めだが、記述量が多い素材。

◆出願者のこれまでの取り組み
学生時代より一貫して物理学および化学に興味を持ち、同時にものづくりを切り開くような研究をしたいという願望があったことから、両者を満たす「化学工学」の分野で博士号を取得した。博士課程における研究テーマは「石炭粒子の加熱膨張挙動の物理的化学的モデリング」である。巨大な溶鉱炉に投入される製鉄用コークスは、その生成過程における石炭の膨張挙動によって品質が大きく左右される。石炭は物理的・化学的に複雑な混合物であるため、21世紀初頭までは石炭のうちいくつかのパラメータとコークス品質の相関を取得し、経験を頼りとしたコークス製造が行われてきた。21世紀に入り、新興国の発展により従来の原料炭の需給が逼迫したことから、石炭の性状がコークス品質に結びつく機序を明確にし、従来使用してきた原料炭や製法にとらわれないコークス製造技術が求められるようになってきた。
このような時代背景のもと、出願者は、従来経験的に予測されていたコークス品質を、石炭(もしくは代替となる有機化合物)のあらゆる化学的・物性物理学的・幾何学的パラメータから理論的に予測する数値モデルを構築することをテーマとして選定し、日夜研究に没頭した。これまで、個々のパラメータとコークス品質の因果関係を検討した研究は存在したが、それらを統合的に扱ったモデリングは存在しなかったためである。本研究は石炭およびコークス製造技術の分野で新たな潮流を作り出す研究であり、その取り組みおよび業績が認められ、関連論文誌への掲載および表彰を数件受けるに至った。

◆なぜ現職を辞してまで医師を志すか
博士号取得後はアカデミアではなく、大手総合化学メーカーの化学プラント設計業務に従事することにした。化学工学は化学産業の要請から生まれた学問であり、ものづくりに直接携わることが化学工学を修める上で最も重要であると考えたからである。実際、民間企業での経験は、学術研究だけでは知り得なかった多くの学びをもたらしたが、一方で化学工学は産業への寄与という点では完成された学問(というより方法論)であり、かつて「新分野を切り開く研究」に没頭したほどの知的刺激は得られなかった。30歳を節目として、新たな分野を切り開くことに挑戦したいという気持ちが再び強くなり、再び研究者を志すことにした。
新しいことに挑戦するのだから、従来の取り組みとは異なる分野を目指したいと考えた。医学部学士編入学制度を知ったのはその頃である。出願者のように医学・生物学以外の経歴を持つ学生を受け入れることで、人材の幅を広げ、医学の発展と推進の原動力とするという考えは、非常に共感を覚えるものであった。医学に対する興味という意味でいうと、医学において最も基盤となる生命科学は、学生時代にはなじみのある学問ではなかった。しかし、物理学や化学を修めた上で生命科学を学んでみると実に面白い。生命活動を支える諸々の現象が物理・化学によって説明されることを理解したからである。また、物理学・化学・工学の諸原理はほとんど解明されているのに対して、生命科学では未知のものがまだ沢山あることが魅力につながっていると思う。さらに、その応用学問である医学は、治療困難である難病の治療法を開発するという問題が多くあることはもちろんだが、生命科学のみならず、生き方、価値観、幸福観、倫理観などといった社会的・哲学的側面を有しており、学問体系自体が非常に魅力的に思えた。
単に医学研究者を目指すのであれば大学院に再入学したりアカデミアの研究室にポスドクとして所属する道もあったように思う。しかしながら、医学研究の究極の命題は「治療方法の開発」にあるはずだから、医学研究を真に有意義に進めようと思うのなら、出願者としてはラボスケールでの機序解明のみならず、臨床試験まで踏み込んで自身が研究に関与する必要性を感じている。また、医学のための研究であれば、それに従事する者は人体の機能・構造と疾病に対する体系的な知識を有し、医療行為の経験も必須であろう。さらに、基礎医学の中でも病理学や法医学分野で研究者を目指すのであれば、病理診断、剖検、司法・行政解剖自体が医行為である以上、医師免許は必須である。いずれにせよ、医学研究を推進することにおいて、「医師」であることは、再び学部生をするという遠回りをし
てでも、出願者にとって大いにプラスであると考えている。

◆医学をどのように切り開いていくつもりか
個人的な思いであるが、今後の(世界規模での)潮流として、人々は「病気をいかに治すか」ではなく「病気にいかに罹らないか」が重視し、医学にもそれを求めるのではないかと思う。すでに予防医学、先制医療という言葉や分野が出現してきている。出願者は、「健康とは何か」、「健康を蝕むものは何か」、「健康という観点から医学は社会に何を提言できるか」、を追求しつづけ、未来につながる医療を紡ぎたいと考えている。

◆なぜ大阪大学医学部か
基礎医学研究においては、日本の免疫学、オートファジー、生化学、タンパク質研究の中心地であり、世界トップレベルの研究環境と人材が集結している点が非常に魅力的である。研究レベルが高いということは、研究者の層が厚いということであり、研究者としての自己研鑽と切磋琢磨を望む出願者にとっては、最良の環境であると考えている。
また、大阪大学医学部では基礎医学から臨床医学への橋渡し研究が非常に盛んであって、上述したようにこれこそが医学研究のあるべき姿だと考えている。また、大阪大学医学部は伝統的に高い臨床力を保持しており、また4つのイニシアティブを設置することで、医学のみならず医療においても日本をリードしようとする姿勢を鮮明にしている。これは医師としての研鑽を積むには最良の環境である。さらに研究(例えば循環器)においても日本と世界をリードしており、この点においても基礎医学と同様の恩恵があると考えている。
さらに、意欲のある学生の学びを強力にバックアップする体制が整っていることが非常に魅力的である。MD 研究者育成プログラム、海外基礎医学実習、海外臨床実習など、留学・学びの機会が豊富に提供されている。出願者は入学後、これらの制度をフルに活用していきたいと考えている。

◆学士編入学生として、一般学生と比較してどのように社会に貢献するか
学術的・職業的経験が既にあり、医学を理解するための知識や思考の幅が広いという意味で、学士編入学生は(他の出願者を含めて)、一般学生よりも医学を推し進めるのに適した人材になりうると考える。一方で、一人前の医師になるには非常に時間がかかるようになっている。すなわち一介の臨床医となるには、学士編入学生は年齢的ハンディキャップを負っていることになる。以上から、学士編入学生は一介の臨床医に終始することなく、入学時点で医学研究者としての志を強く持ち、その道にまい進することで、他の研究者を率いる指導的立場に立つべきであると理解している。そしてそれこそが、学士編入学制度の意義であり、学士編入学生が社会に貢献できるあり方であると考えている。

まとめ

この記事では、

  1. 生物系・名門ではない自分の経歴は、面接で不利に働いてしまうのではないか?
  2. かりに不利に働かないとしても、しっかりと出願書類や面接で説明できるのか?

という2つの問いに答えました。

1つ目の問いに対しては、

あなたの経歴をあなた自身、どのようにとらえているか?

ということが重要になってくる、ということを一貫して訴えてきました。

あなた自身の経歴に対する捉え方で、志望動機書や面接での志望動機説明のクオリティが全く変わってくるからです。

そのために、年齢専攻分野学歴学生時代職歴という切り口から、それぞれどのように捉えたらよいか説明し、

さらにそれらを支える、おおもとの基盤となる考え方

(=自信のつけ方。自分の性質・状態でなく、意識、態度、行動を承認する)も示しました。

2つ目の問いに対しては、志望動機書のフォーマット

  1. なぜ今の専攻を辞して医学・医療を志すか
  2. なぜ医師である必要があるか (つまり他の医療職や生物系・医学系研究職でなく、医師か)
  3. 医学・医療の発展に、どのような寄与をしていくか (より具体的な寄与)
  4. なぜ〇〇大学

があることを説明し、その具体的例としてぶっでぃの阪大志望動機書の全文及び下書き文章を公開しました。

このように、志望動機書の作り方について、

捉え方、考え方、理論、具体論すべてのアプローチで解説してきました。

この記事が、あなたならではの志望動機書づくりに役立つことを願っております。


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