NGOで勤務する医師も、広い意味で臨床医ではあります。
ですが、普通のお医者さんと違うのは、
日本国内のように医療という人的・法的・設備的インフラが整っていない、
国境なき医師団(MSF)などが代表例です。
MSFなどで働く医師は、社会貢献活動をしているといえます。
普通、社会貢献活動をしていて給料は出ません。
ですが、医師の場合、普通の社会貢献活動とは違い、給与が出ます。
額面で15-20万円強/月です。病院勤務の勤務医の1/5~1/3程度でしょうか。
また、同僚や派遣先の人々から見ると、「日本を代表する医師」ですから、
日本の医療技術をしっかり体得する必要があります。
(世界的に見て日本の医療技術レベルはトップクラスです)
そのため、派遣の任期の合間に、一定期間日本の病院で技術的フォローアップをする方も多いと聞きます。
さらに発展途上国や紛争地域では、そもそも医師数が非常に不足しているため、
日本のように分業が細分化されてはいませんん。
そのため、派遣された医師は多くの診療領域をカバーすることが求められます。
たとえば、外科系であれば、日本だと消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科などと細分化されているところを、
MSFに派遣される医師であれば一般外科に加え、産科、整形外科などもカバーする必要があります。
当然ながら、MSF派遣医師となるには、臨床での経験が必要となります。
ですから日本国内での臨床経験をつむことになりますが、
その後MSF医師となるうえで、所属病院から理解を得たり、
不在になることによる迷惑を最小限にするための配慮が必要になります。
また、忘れてはならないのが安全面です。
とくに紛争当事国では、銃弾が飛び交う地域が普通に存在します。
そのような地域に診療所を構えるわけですので、命の危険と常に隣り合わせです。
MSF所属の診療所は中立地帯に構えられ、かつ空からは空爆されないように屋根に病院マークが塗装されます。
ですが、目の前で戦闘が始まり、爆発なども至近距離で起こったりすると、
診療を一次中断して、地下壕に避難したりもするそうです。
このように、通常の勤務医になるよりも、金銭面、実務面、経験面、安全面で相当大きなハードルが存在します。
それを理解したうえで、自分はやはり
「医療が普及していない地域に質の高い医療をもたらすのだ」
という強い意志と目的意識が必要となります。
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