こんにちは!
ぶっでぃです^^
最近、メールフォームからいただいた質問に答えまくっていて、
そこから記事のネタや内容が沢山できてきています。
本当にありがたいです。質問された方は本当に得をされていると思います。
さて、先日いただいた疑問はこういうものでした
志望大学を複数にしたのですが、
各大学の対策を行なわなければならない、と思うと気が滅入りそうです。
ぶっでぃさんは、やっぱり各大学の対策はしましたよね?
どうされていたのでしょうか?
とてもいい質問ですね。
この記事を読んでいただいているあなたを含め、
悩みの種になっているのではないでしょうか?
ご連絡いただいた方、ありがとうございました^^
かくいう僕も同じ悩みを抱えた経験があります。
僕も2017年には4大学を併願しましたから。
これでも少ないほうなのですね。合格者からいろいろな方からお話を聞く機会がありますが、7~8大学を併願するのはありふれた話みたいです。なかには10大学以上に出願する猛者も・・・。特にKALS受講者の方は出願校数が多い傾向にありますね。
「4大学全てに対策しなければいけないのかー」
と思うと途方にくれましたね。
ただでさえ、医学部編入試験は勉強すべきことが多い試験です。
大学によっては生命科学、英語だけでよいとはいえ、です。
確かに医学部編入試験は科目数こそ一般入試(センター+個別)より少ないですが、
高校から大学への一般大学入試とは異なり、
高校の授業を一通り受けた後、
受験に最適化された教材をこなせばよいわけではありません。
過去の出題を見て、自分で勉強範囲を決め、
自分で教材を決め、自分で戦略を立て、
そこからやっと勉強開始です。
そのうえ、一般入試のように、大学ごとに個別試験の難度も出題傾向も違う、
となれば気が遠くなります。
しかも一般入試は基本的に多くてもその年に受ける校数は、
多くて3つ程度(私立+国公立前期+後期)。
一方、医学部編入学試験では何校でも併願可能なわけですから、気が遠くなります。
中には10大学以上に出願する猛者も。
いったいどれだけ勉強すればいいんだ!
ところが、勉強を進めるうちに、
どうやら別の捉え方があることが分かってきました。
この記事では、僕がどのように考え、実際に進めてきたか書こうと思います。
僕はこの捉え方をすることで、かなり精神的にも楽になりましたし、
複数大学に併願し、そのまま複数大学に合格することができました。
過去問対策する意義に迫る!
まず、医学部編入に限らず、受験では、
過去問にもとづいて傾向分析&対策を行うのが基本です。
望まれる学力レベルと、現状のが苦慮との差異を把握し、
逆算する形で計画を立てていくというのが、
受験勉強の計画方法の王道だからです。
しかし、複数校を併願する場合、
もしその併願した大学ごとに出題傾向が大きく異なる場合、
それぞれ違うゴールが設定されていることになってしまいます。
極端な話、併願した大学ごとに
勉強の道筋を別々に立てる必要が出てくるということです。
大学ごとの出題傾向と難度の違いって?
では、そもそも医学部編入試験において、
大学ごとにどの程度の傾向・難度の差があるのでしょうか?
これを考えることで、はじめて
「大学ごとの対策を行う意味があるのか?」という
お話はできるようになります。
逆に、これを考えずに、
(かりにあなたの志望大学が7大学だったとして)
7大学分の過去問全てを対策しても、
本当に有意義な対策を行ったかどうかは
あなた自身が確信を持てないはずです。
もしかしたら、他にもっと重点を入れるべき対策が
あるかもしれないのです。
そこで、この項では、
まず、一般入試で、大学ごとに過去問ベースで対策する意味を考え、
次に、医学部編入試験において、一般大学と同じように
大学ごとの過去問対策を行う必要があるかを考えてみたいと思います。
高校→大学 一般大学入試の場合
一般大学入試では、
ご存知のように、大学ごとに過去問を用いた対策を行います。
これは、当然のごとく、
個別入試問題の出題傾向・難度が
大学ごとに異なるからです。
たとえば、日本での大学入試難度を二分する東大・京大では、
出題傾向が全く異なるのは有名な話です。
大学ごとのアドミッションポリシーを、
入試問題に反映させているのですね。
では、一般大学入試では、
なぜそこまで出題傾向・難度を「違う」のでしょうか?
高校既習レベル=大学入試レベルの知識は、
全国で一律に決まっているのにもかかわらず、です。
これに対する最も本質的な答えは、
知識習得・理解レベルでは、受験生同士で大きな差はつけられないから
でしょう。
受験生は、高校で習うレベルの事項はすでに理解している。
つまり、日本の高校生のレベルは高いのです。
そのため、知識習得・理解レベルを超えた、
抽象的・数学的・論理的な思考レベルを問う出題をしないと、
受験生の優劣をつけられないのです。
では、各大学、
具体的にどのように出題のバリエーションをつけているかというと、
高校よりもハイレベルの知識(=大学レベル)に基づいて、
高校レベルの知識で解ける問題を作っている
ということです。
高校で習うレベルの知識・方法・考え方・概念は、
大学レベルで習う知識の入門編だったり、
より抽象度を落とした具体論や各論だったりします。
そこから、よりメタで、本質的な議論に導くような出題をしたり、
高校修習レベルではわからない物事の本質的な結びつきを議論する出題をしたりするのです。
このような出題をすることで、
問題レベルに差をつけて受験生のレベルや点数に差をつけられますし、
抽象的・数学的・論理的な思考レベルを判定することもできます。
たとえば、京都大学では、
本来なら大学で習う概念を、
高校レベルの知識と題意から導かせるような問題を出題したりします。
また、東京大学では、
高校レベルの知識を総動員して、短い制限時間内に、
これまた大学レベルで学ぶような本質的議論をさせたりします。
このように、
大学レベル(本質的・抽象的)から
高校レベルの知識(具体的・各論的)を俯瞰することで、
問題のバリエーションをたくさんつけることができるし、
それによって受験生の思考レベルや理解力に基づいて点数に差をつけられる、
というメリットが大学にあるのです。
編入学試験の場合
では、医学部編入学試験においてはどうなのでしょうか?
なお、この項で述べることは、医学部に限らず、あらゆる学部の編入学試験に当てはまります。僕自身、高専→大学という編入学試験を経験していますが、とても類似していると感じました。
医学部編入学試験では、
いちど大学を卒業した人たちを選抜する試験ですから、
高校の科目よりも高度な知識と考察力を要求されます。
とはいっても、試験難度は高校レベルから大学教養レベルまで、
さまざまです。
ですが、いずれの科目も(特に生命科学・英語)、
多くは大学教養レベルで出題されることをご留意ください。
(詳しくは>>コチラの記事で)
大学教養レベルで出題されるということは、
出題傾向が大学間で異なるかどうかは、
一般入試とは異なる前提で考えなければいけません。
つまり、
①知識習得・理解レベルが同じで、
②出題者が、出題レベルよりメタな概念に立つことができる
という前提が通用するとは限らないということです。
まず、①知識習得・理解レベルですが、
これは受験者間でかなりの差があります。
高校修習レベルでは、大学受験者はみな一生懸命理解します。
しかし、大学レベルは、なぜか理解レベルにかなりの差が存在します。
これは、
- そもそも理解自体が困難を極める学問がある。そのような学科目では、よく理解しないまま単位だけは認定されて、以後そのままという人が多い(※1)
- 教員や講義・実習のレベルが大学によってばらばらである
- 大学レベルの学識を用いた次なる試験がないので、真剣に勉強しない(※2)
※1 特に数物系の学問に多いです。解析力学や熱力学などは物理学科の学生すら苦戦する場合が多いようです。
※2 修士進学する人は、大学院試験をパスするために専門科目の学修が必須なので、専門科目についてはマスターしている場合が多いです。
という理由によるところが大きいと思われます。
一般入試と違い、知識習得・理解レベルにバラツキがあるということは、
知識や理解力を問う問題だけで受験生に差がつくということです。
色々な大学の過去問を振り返ってみると、
たしかに、医学部編入学試験では例題レベルの出題が多いです。
特に、理解のハードルがそもそも高い数物系・化学においては顕著です。
つまり物理と化学に関しては例題レベルを究めれば試験は通るということですね。
生命科学については、近年予備校の参入により受験者の知識・理解レベルが上がり、
高度な実験考察問題や、論文から最新の知見読み解かせるなど増えてきました。
とはいえ、そもそもの知識体系が膨大ということもあり、
知識や理解力によって差がつくという状況はいまだ健在です。
そのため、生命科学でも出題は穴埋めや知識記述問題が大勢を占めます。
今後、>>別記事(受験戦術の記事)でも述べますが、
以上の事実は、僕が医学部編入の受験勉強で、
Commonの繰り返しによる習熟が、最も本番での解答レベルをつける
と主張する根拠でもあります。
また、②出題者が、実際の出題レベルよりメタな概念で俯瞰しているか、についてですが、
これは分野によります。
数物系では、出題レベルより高い・メタなレベルから俯瞰した
ハイレベルな問題は、ほとんどないと思って大丈夫です。
ほとんど、というのは、実際はゼロでなく、
とくに難関大学ではマニアックな問題がぽつぽつと出題されるのですが
(例:阪大2015年受験の物理、阪大2016年受験の化学大問I、北大2016年受験の統計)
あったとしても大体の受験者はほとんど解けなく、
ゆえに受験者間でほとんど差がつきませんから、
例題以外の対策の優先度は下げて大丈夫です。
これは、じっさいに大学で数物系・化学を履修すると、その実態が分かります。
たとえ理学部や工学部の教員で、数物・化学を専門領域としている教員であっても、
よくわかっているのは自分の研究分野だけであり、
履修単位になりそうな基礎学術領域(たとえば力学、電磁気学、熱力学、有機化学など)は、
教科書や一般的な演習問題レベルの理解どまりだったりします
※自分の専門分野・研究分野以外は、大部分が大学院試レベルでしょうから当然ですね
実際に、大学で数物系・化学の科目を履修すると、
試験の出題が演習書に掲載されている問題が
そのまま掲載されているようなものばかりです。
ということは、医学部編入学試験においても、
出題形式は学内のテストに準じて、
演習書に掲載されている問題の類似問題が多くなると思われます。
いっぽう、生命科学については日進月歩ですので、
数物系・化学とは異なり、より高いレベルの出題をしてくる可能性は高いです。
大学の教員は、日ごろから学術論文に接している研究者もであるので、
新しい知見や、これまでの生命科学の常識を覆す知見を出題してきたりします。
もちろん、基礎的な知識・理解を問う問題も多く出題されるのですが、
細胞生物学、生化学、分子生物学、生理学の最新の発見(特に話題の大きいもの)は、
つねにフォローしておく必要があると思います。
このサイトでは、研究に従事しつつ現役医学生をしているメリットを生かして、
最新の知見も今後シェアしていこうと思います。
以上のまとめ
以上述べたことを、表形式にしてまとめておきます。
医学部編入 | 一般入試(個別試験) | |
---|---|---|
受験者の知識・理解 | 相当のバラツキがある | すべからく高い |
出題者のレベル | 基本的に、教員も演習書などから問題を引用して出題することがほとんど。ただし、生命科学は日進月歩であるため、研究者の立場としての出題も珍しくない | 高校履修レベルより高度な概念を取得した人たち。そのため、より上位概念から俯瞰した出題をする場合がある。 |
出題および、そのレベル | 数物・化学は、教科書や演習書の例題レベル問題が主。生命科学は、穴埋め・知識記述問題に加え、最新の実験考察問題を絡めてくる場合ある | 思考力を問うハイレベル問題が出題される |
結論として、大学間の出題傾向と難易度は | 出題難度自体は異なるが、出題傾向は収束している | 大きく異なる |
出題者のレベルと、出題レベルをみると、
医学部編入学試験では難易度に差はあっても、出題傾向は
- 数物・化学 : 例題レベル
- 生命科学 : 穴埋め、知識記述、実験考察
に収束することがわかりました。
大学間で異なるのは、むしろ同じ出題傾向の中での
知識レベル(わかりやすくいうと大学レベルか高校レベルか)です。
これが意味することは、
併願する大学のなかで、もっとも問題難度が高い大学に合わせて対策をすれば、
他の併願校の対策も同時に行ったことになる
ということでしょう。
しかし、この方法が成り立つには、志望大学の選定について留意する必要があります。
というのも、出題傾向は各大学、似通ったものであるとはいえ、
2科目型と4科目型では、生命科学が全体に占める割合が異なりますから、
必然的に生命科学の試験で問われる能力のレベルも異なってくると予想されるからです。
すなわち、2科目型の方が論文読解型、実験考察型の問題が増える傾向にあります
(阪大では4科目型にもかかわらず論文読解させるので、あくまで傾向です。曖昧な言い方ですみません)
その点で言うと、何科目型の大学を受験するかは、
なるべく一貫性を持たせ、どちらかに集中したほうが
合格する確率は高まると予想されます。
これについては、次の項で詳しくお話ししていきます。
志望大学の選び方によって、対策大学は1本に絞れる!
戦略の記事でも書いたとおり、あなたには、
1.自分の中にある医師になるモチベーションと、勉強のモチベーションの源泉を知る
2.自分の向き/不向きを知る
①臨床医 or 研究医、の選択。
②受験科目は何か、の選択。
③受験勉強にTOEIC/TOEFLを導入するか、の選択
という過程を経て、理想の志望大学を見出してほしい、
という僕のお願いを書かせていただきました。
志望大学を選定するうえで、
現状の学力や、過去の学歴・分野など、
まったく考慮する必要はない、ということも書きました。
過去を振り返り(現在の能力)、未来の理想(キャリアパスの形)を明確にすることで、
その手段として選ぶ大学が決まってくるというわけです。
そうすることで、併願する志望大学に一貫性が
(主に受験科目・出題傾向において)生まれてきます。
ここで大切にしほしいのは、志望校は必ず複数を選んでほしい、ということです。
そして、その中で1校くらいは、
自分にはちょっと無理なんじゃないか
と思ってしまうくらいのレベルの大学を選んでください。
医学部編入を志すだけで、大きなチャレンジです。
「どうせなら、1校くらい大きな目標を掲げて、
そこに向けて頑張ってみませんか?
いずれにせよ、併願するのですから、
それだけでリスクヘッジにはなっているわけですし」
というわけです。
また、以上のような精神的な理由のみならず、
実利的な理由もあります。
それは、そのレベルの大学を志望することで、
あなたの学力レベルが引き上げられることです。
>>戦略の記事で述べた方法で志望大学を選ぶと、
志望大学に一貫性が生まれますから、
志望大学間で、試験問題の傾向が重複するという現象が起こります。
そうなると、最初は無理じゃないか!?と思えるようなレベルの大学に、
なんとか合格できるよう努力していくと、
その1校への対策を究めれば、全ての大学に対する対策を行っていることと同じになります。
この状態にまであなた自身を引き上げることができれば、
仮にすべての大学への合格は無理だったとしても、
必ず1校はあなたに合格通知をくれる大学が現れます。
◆◆ ぶっでぃの場合 ◆◆
僕の志望大学は
大阪大学、北海道大学、香川大学、富山大学でした。
僕の得意分野は化学であり、それを活かせる4科目型の出題をする大学で、
かつ研究医養成にも積極的な大学を選定しました。
また、以上の戦略面での理由のほか、
北海道は地元だし、香川は好きな県、富山は尊敬する先輩のおすすめがあったというのもあり、
いずれも思い入れのある場所だったというのも、選定としては理由ありました。
僕の場合は、思い入れ→戦略、という順番で決めましたが、
「戦略」というフェーズを経由さえすれば、どのような経緯で決めても構わないと思います。
2017年前半、僕は阪大を第一志望かつ大きな目標と掲げていましたが、
実際は北海道大学に受かればよい方で、
現実的には香川大学、富山大学いずれか1校から
合格をもらえればよいと思っていました。
実際、自分の分析・考え方・仮説・戦略が正しいかは、
受けて結果が出ないことにはわからないし、
そのために不安もあったからです。
いずれにせよ、戦略にあった志望大学を選定した後は、
最も試験レベルの高い阪大対策1本に絞ることを選択しました。
僕には時間が限られていたし、心の中では阪大に何が何でも合格すると思っていたからです。
そして、阪大の過去問を分析し、構成要素に分解し、一つ一つの要素を鍛え、
模試で力試し&本番形式での演習を行い、
さらに阪大より前には実際の本番試験(富山、香川)がありました。
結果、阪大からは合格をいただくことができました。
こう言っては怒られるかもしれませんが、
実際に行った仮説・検証の過程をありのままにお伝えするためにあえて言うと、
北海道大学に関しては、過去問を少し見ただけで、
確率統計以外はほとんど対策していません。
しかし、こちらも合格しました。
対策は阪大1校しか行っていないにもかかわらず、
結果としてすべて(香川は筆記のみ)合格することができたのです。
すなわち、志望校の選定が一貫さえしていれば、
そのなかで試験問題のレベルが最も難しい大学に絞って対策すれば、
全て(とはいわずとも少なくとも1校は)合格することができることを、
僕は身をもって経験したのです。
このことを、僕は皆さんに有益な情報としてお伝えしたいと思います。
目的を高く持つことで、
結果としてあなたはどこかの大学1つには必ず入れるようになります。
僕の場合、目標が高すぎるチャレンジだったからこそ、
何が何でも合格する!と思うことができました。
そして、そのような気持ちを基盤に(というか気持ちが伴っていたからこそ)
本気で戦略・計画・戦術を研究し取り組んだ結果、
第一志望のみならず他の併願校も合格通知をいただけたのだと思います。
実は併願できることの最も大きなメリットは、
理想に向かって実力をつけることで、
もともと合格妥当ラインだった大学を、合格確実ラインに引き上げること
だったのだと、経験してみて初めて気づいたのです。
大学別の過去問対策は本当に必要!? まとめ
高校→大学という一般入試とは異なり、
医学部編入では、大学間の出題傾向に大きな差がないことを明らかにしました。
大学間で異なるのは、むしろ同じ出題傾向の中での
知識レベル(わかりやすくいうと、大学レベルか高校レベルか)です。
一方、適切に戦略を練り、併願する志望大学に一貫性をもたせれば、
2科目型or4科目型どちらを重点的に出願するかが決まります。
そうなれば、あとは、
併願する大学のなかで、
もっとも問題難度が高い大学に合わせて対策をすれば、
他の併願校の対策も同時に行ったことになります。
すなわち、このやり方で志望大学を選定する限りにおいて、
医学部編入において大学ごとの対策を個別に行う必要はない
ことが明らかになりました。
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